台風や地震、大雨によって、毎年のように日本各地で避難が必要な災害が起きています。
避難所に行くことになったとき、多くの人が「ちゃんと眠れるだろうか」「体調を崩さないだろうか」と不安を感じますが、赤ちゃん連れの家庭にとってその不安は別次元です。
赤ちゃんは環境の変化に敏感で、不安や不快を言葉で伝えることができません。
泣くことでしか訴えられない赤ちゃんを抱えて避難すること自体を、ためらってしまう親も少なくありません。
■① 避難所で赤ちゃんは「大人の横で寝られない」
避難所では、スペースの都合から家族が雑魚寝になるケースが多くあります。
しかし、生後間もない赤ちゃんは安全上の理由から大人の横で一緒に寝ることができません。
・大人用段ボールベッドで添い寝は不可
・毛布やタオルに包んで床に寝かせるしかない
・踏まれる、ホコリを吸うリスクがある
これは親にとって、強い不安と緊張を強いられる状況です。
■② 赤ちゃんの「寝る場所」が避難のハードルになる
近年は「インクルーシブ防災」という考え方が広まり、
常温液体ミルクなど赤ちゃん向けの備えは少しずつ進んできました。
しかし、「寝る場所」という根本的な問題は、長く置き去りにされてきました。
・赤ちゃんが安全に寝られる
・親が目を離さずに済む
・避難所の環境に適応しやすい
こうした条件を満たす仕組みがなければ、避難所は赤ちゃんにとって過酷な場所になってしまいます。
■③ 避難所用段ボール製ベビーベッドという選択肢
こうした課題から生まれたのが、避難所用の段ボール製ベビーベッドです。
・女性ひとりでも持ち運べる軽さ
・接着剤不要で短時間で組み立て可能
・床から高さがあり、踏まれる事故を防ぐ
・通気性を確保する「すのこ」構造
実際に、ひとりで組み立てても数分で完成する設計になっています。
■④ 赤ちゃんの体と心を守る工夫
避難所は照明が明るく、夜も完全に暗くならないことが多い環境です。
ベビーベッドには、
・照明から目を守る
・ホコリを防ぐ
・暗闇でも視認しやすい色
といった配慮が組み込まれています。
赤ちゃんだけでなく、張りつめた親の気持ちを少し和らげるという意味でも重要な役割を果たします。
■⑤ きっかけは「避難した母親の声」
この仕組みが生まれた背景には、過去の災害を経験した母親たちの声があります。
・避難所で何が一番つらかったか
・どんな助けが欲しかったか
そうした声を丁寧に拾い上げた結果、
「段ボールで作れる赤ちゃん専用のベッド」という発想にたどり着きました。
■⑥ 実際の災害現場で使われている
このベビーベッドは、すでに複数の災害現場で使われています。
・地震の被災地
・豪雨災害時の避難所
・大雪による空港滞留時
避難所だけでなく、自衛隊の入浴支援の脱衣所など、
「床に赤ちゃんを置けない場所」でも活躍しています。
■⑦ 「すみません」と言わせない避難所へ
赤ちゃん連れの避難で、親が最も気にするのは
「迷惑をかけてしまわないか」という点です。
・泣き声
・夜間の授乳
・周囲への気遣い
もし避難所に赤ちゃん用の設備があると分かっていれば、
避難する決断そのものがしやすくなるという調査結果もあります。
■⑧ 知ることが、命を守る第一歩
避難所用の赤ちゃん向け設備は、まだ十分に知られていません。
しかし、市民からの声が増えれば、行政の備えも確実に変わります。
・自分が行く避難所に赤ちゃん用設備はあるか
・自治体に問い合わせてみる
その一歩が、「誰も取り残さない防災」につながります。
赤ちゃんがいるから避難できない、ではなく、
赤ちゃんがいても安心して避難できる社会へ。
そのための備えは、もう始まっています。

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