【防災士が解説】防災×避難所|「休む=寝る」では足りない。避難生活で“活力を守る7つの休養法”

避難所生活が始まると、多くの人がこう言います。

「寝ているのに疲れが取れない」
「横になっているのに回復しない」

実はそれ、正常な反応です。

災害時の疲労は、単なる肉体疲労ではなく
心理的・社会的ストレスが重なった“複合疲労”だからです。

本記事では、防災×避難所という視点から
「休む=寝るではない」という考え方を整理し、
避難生活で実践できる“攻めの休養”を解説します。


■① 避難所で起きる疲労の正体

避難所では

・常に人の気配がある
・物音が絶えない
・プライバシーが少ない
・緊張状態が続く

という環境が続きます。

これは交感神経優位の状態が長く続くということ。

つまり、体は休んでいても
脳と神経は休んでいないのです。


■② 「休む=寝る」だけでは足りない理由

休養には大きく3種類あります。

・生理的休養
・心理的休養
・社会的休養

そして、そこから派生する7タイプの休み方があります。

避難所ではこの“組み合わせ”が重要になります。


■③ 避難所で実践できる7タイプの休養

1【休息タイプ】

横になる、目を閉じる、仮眠を取る。
ただし「時間を決める」ことが重要。
ダラダラではなく主体的に休む。


2【運動タイプ】

軽いストレッチや体操。
血流を改善し、エコノミークラス症候群予防にもつながる。

実際に熊本地震の避難所では、
簡単な足首運動の指導が効果的でした。


3【栄養タイプ】

食べ過ぎない。
胃腸を休ませる。
温かい汁物を優先する。

避難生活では過食や甘味依存が増えやすい点は注意です。


4【親交タイプ】

無理のない会話。
挨拶だけでも良い。
自然や空を見る時間も有効。

被災地派遣時、
孤立を防ぐ「一言の挨拶」が精神安定に大きく寄与していました。


5【娯楽タイプ】

読書、音楽、ラジオ、推し活。
短時間でも“没入”が回復につながります。


6【造形・想像タイプ】

日記を書く。
地図を見る。
未来の計画を考える。

能登半島地震の派遣時、
「家をどう直すか考える時間」が前向きな活力になっていた方がいました。


7【転換タイプ】

場所を少し変える。
外に出て深呼吸する。
避難所内で配置換えをする。

小さな環境変化は、精神のリセット効果があります。


■④ 現場で感じた“心の消耗”

元消防職員として複数の被災地に入りましたが、
体よりも心が先に限界を迎える人を多く見ました。

「迷惑をかけてはいけない」
「我慢するのが正しい」

この思考が最も危険です。

防災士として強く伝えたいのは、
避難所では“回復すること”も役割の一つということです。


■⑤ 性格別に休み方を変える

外交的な人は交流で回復します。
内向的な人は一人時間で回復します。

感性派は感情表現で回復します。
理論派は整理・計画で回復します。

正解は一つではありません。

自分に合う休養タイプを知ることが、
避難生活を乗り切る鍵になります。


■⑥ 迷ったらこの判断

「今の休み方で、活力が戻っているか?」

寝るだけで戻らないなら、
別タイプを組み合わせてください。


■⑦ 今日できる最小行動

・防災リュックにイヤホンを入れる
・ストレッチ方法を1つ覚える
・“5分外に出る”習慣を決める

物資だけでなく、
“回復方法”も備えです。


■⑧ まとめ

避難所生活は長期戦です。

休むことは弱さではありません。
回復する力を持つことが「耐災害力」です。

防災とは、
命を守る準備であり、
心を壊さない準備でもあります。


出典:片野秀樹『休養学』(東洋経済新報社)

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