避難所のトイレは、これまで「我慢する場所」「仕方なく使う場所」と捉えられてきました。
しかし被災地の経験から分かってきたのは、トイレの空気が避難所全体の空気を決めるという事実です。
「楽しいトイレ」は、決して不謹慎な話ではありません。
それは、避難生活の質と心身の健康を守るための、極めて実践的な防災視点です。
■① なぜ「楽しいトイレ」が必要なのか
避難所では、トイレが原因で次のような問題が起きやすくなります。
・我慢による脱水や便秘
・トイレ回避による食事量低下
・不安やストレスの増幅
・高齢者や子どもの体調悪化
トイレが「行きたくない場所」になると、健康被害が連鎖的に広がります。
■② 「楽しい」は不安を下げる最強の仕組み
人は不安な場所を避けますが、
少しでも前向きな感情がある場所には足を運びやすくなります。
・明るい
・安心できる
・気まずくない
・空気が重くない
この状態をつくるキーワードが「楽しい」です。
■③ 楽しいトイレは特別な設備はいらない
「楽しいトイレ」は高価な設備では実現しません。
・子どもの絵やメッセージを掲示
・季節のイラストや折り紙
・「いつもありがとうございます」の一言
・清掃担当の名前を掲示
これだけでも、空気は大きく変わります。
■④ 子どもが行きたくなる=大人も安心
子どもが嫌がらずに使えるトイレは、
大人にとっても使いやすいトイレです。
・怖くない
・暗くない
・怒られない
・失敗しても大丈夫
子ども目線の工夫は、避難所全体の心理的ハードルを下げます。
■⑤ 「楽しい」は衛生管理にもプラスに働く
楽しい雰囲気は、行動も変えます。
・汚さない意識が高まる
・次の人を気遣える
・ルールが守られやすい
・清掃への協力が得やすい
結果として、トイレの清潔さが維持されやすくなります。
■⑥ 被災地で実際に効果があった工夫
被災地や訓練現場では、次のような例がありました。
・「今日も一日おつかれさま」の掲示
・子どもが描いたトイレマップ
・応援メッセージボード
・季節イベント風の装飾
「笑っていい空間」が、張り詰めた空気を緩めました。
■⑦ 楽しいトイレは「心の避難所」
トイレは、避難所で数少ない一人になれる場所です。
・気持ちを落ち着ける
・深呼吸する
・少し笑う
楽しいトイレは、心の回復を支える小さな拠点になります。
■まとめ|楽しいトイレは命を守る工夫
避難所のトイレに必要なのは、
「我慢しなくていい」
「使っていい」
「ここに来ても大丈夫」
という空気です。
楽しいトイレは、
避難生活を少しだけ人間らしくし、
健康と尊厳を守る、防災の重要な要素です。
出典
内閣府 防災情報のページ「避難所運営ガイドライン(生活環境・トイレ対策)」

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