避難所では、水や食料、毛布といった物資が注目されがちです。
しかし、実際の被災地で長期避難が続くと、別の問題が必ず浮かび上がります。
それが「心の疲弊」です。
その中で、現場で静かに効果を発揮していたのが「手品」や簡単なマジックでした。
■① 避難所で起こる“見えない疲労”
避難所では、次のような状況が重なります。
・先が見えない不安
・プライバシーの欠如
・日常が失われたストレス
・子どもが我慢を強いられる空気
被災地派遣やLOとして現地に入った際、
「大人は耐えているが、子どもが先に限界を迎える」
という場面を何度も目にしました。
■② なぜ「手品」が避難所で有効なのか
手品には、避難所環境と相性の良い特徴があります。
・道具がほとんどいらない
・短時間で場の空気を変えられる
・年齢を問わず楽しめる
・言葉が少なくても伝わる
一瞬でも「えっ?」「すごい!」という反応が生まれると、
避難所の空気が柔らぎます。
■③ 実際の被災地で見た光景
被災地派遣中、支援者が披露した簡単な手品に、
子どもたちが集まり、自然と笑い声が広がったことがありました。
最初は距離を取っていた大人も、
子どもの笑顔につられて輪に加わっていく。
その瞬間、避難所に「日常に近い時間」が戻ったのを覚えています。
これは物資では代替できない支援です。
■④ 手品がもたらす心理的効果
手品が生むのは、単なる娯楽ではありません。
・注意が不安から一時的に離れる
・驚きが脳をリセットする
・笑顔が周囲に連鎖する
・「この場所でも楽しんでいい」という許可が生まれる
特に子どもにとっては、
「避難所=怖い場所」だけで終わらせない効果があります。
■⑤ 防災の現場で見落とされがちな視点
行政や支援側は、どうしても
「配る」「整える」「管理する」
という視点に寄りがちです。
しかし、避難生活が長引くほど重要になるのは、
心が壊れない工夫です。
手品は、その入口として非常に優秀です。
■⑥ 特別な技術は必要ない
本格的なマジックである必要はありません。
・ハンカチが消える
・コインが移動する
・紙が変化する
こうした簡単なものでも十分です。
大切なのは完成度ではなく、「一緒に驚く時間」です。
■⑦ 自律型避難と“楽しさ”の関係
避難所で少しでも前向きな空気が生まれると、
人は互いを気遣う余裕を取り戻します。
それは結果的に、
・トラブルの減少
・情報共有の円滑化
・自主的な役割分担
につながり、避難所運営そのものを安定させます。
■⑧ まとめ|手品は「心の備え」
避難所に必要なのは、物資だけではありません。
結論:手品は、避難所で心を守る立派な防災ツールです。
元消防職員として現場を見てきた立場から言えるのは、
「笑顔が戻った瞬間、空気が変わる」という事実です。
非常時だからこそ、
人の心を軽くする工夫を、備えの一つとして考えてみてください。

コメント