避難所と聞くと、「とにかく我慢する場所」というイメージを持っている人は多いかもしれません。
しかし近年、防災の現場ではその考え方が大きく変わりつつあります。
その象徴が、「TKB」というキーワードです。
■① 避難所の新常識「TKB」とは何か
TKBとは、次の3つの頭文字を取った言葉です。
・T:トイレ(Toilet)
・K:キッチン(Kitchen)
・B:ベッド(Bed)
これは単なる快適性の話ではありません。
避難所での生死を左右する、最低限の生活インフラを意味しています。
災害時に命を落とす原因は、倒壊や津波だけではありません。
避難生活の中で体調を崩し亡くなる「災害関連死」は、毎回大きな課題となっています。
■② なぜ「トイレ」が最優先なのか
過去の大規模災害では、仮設トイレがあっても次のような問題が起きました。
・段差が高く高齢者が使えない
・和式で身体に負担がかかる
・汚れや臭いで使用を避ける人が続出
その結果、水分や食事を控える人が増え、
脱水・便秘・持病悪化につながった事例が多数あります。
使えないトイレは、無いのと同じ
これが現場で繰り返し確認されてきた現実です。
■③ キッチンが「心と体」を支える理由
避難生活が長引くと、食事内容が偏りがちになります。
・冷たいおにぎり
・パンばかり
・栄養が不足した食事
西日本豪雨などでは、温かい食事が取れない状況が続き、
体力だけでなく、精神的な疲労が蓄積しました。
温かい食事は、
・体温を保つ
・消化を助ける
・安心感を生む
という重要な役割を果たします。
■④ 床での雑魚寝が招く深刻な健康リスク
避難所で多いのが、床に直接寝る生活です。
これにより、
・冷え
・ほこりの吸い込み
・腰痛、関節痛
・エコノミークラス症候群
といった健康被害が起きやすくなります。
特に高齢者や体の弱い人にとって、
「ベッドがない」ことは命に直結する問題です。
■⑤ 海外では当たり前の「TKB」
海外では、TKBはすでに常識になっています。
例えばイタリアでは、
・発災後48時間以内に
・水洗洋式トイレ
・温かい食事
・簡易ベッド
が提供されます。
これは「贅沢」ではなく、
災害関連死を防ぐための最低条件として位置づけられています。
日本でも段ボールベッドやコンテナトイレの導入が進みつつありますが、
現場の努力に頼っているのが現状です。
■⑥ 行政任せにしない「家庭でのTKB対策」
避難所環境の整備は行政の役割ですが、
初動や混乱期はどうしても限界があります。
だからこそ、家庭での備えが重要です。
家庭でできる備え
・携帯トイレ、簡易トイレの備蓄
・カセットコンロとガスボンベの準備
・エアマットや簡易ベッドの用意
これだけでも、避難生活の負担は大きく変わります。
■⑦ 「避難所だから我慢する」はもう古い
これからの防災で大切なのは、
「避難所だから仕方ない」ではなく、
「避難所だからこそ、命を守る環境が必要」
という考え方です。
TKBは理想論ではありません。
これからの避難所に欠かせない必須条件です。
■⑧ まとめ:TKBは命を守る防災の基本
トイレ・キッチン・ベッド。
どれも当たり前の生活にあるものです。
しかし、災害時に失われやすく、
同時に命を守るために最も重要な要素でもあります。
行政の整備を待つだけでなく、
家庭で備え、判断し、行動する。
それが、私が痛感したこれからの防災に求められる姿勢です。

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