【防災士が解説】防災×防災バッグの盲点|本当に足りないのは「助けを呼ぶ備え」だった

地震が続く中で、防災バッグの中身を見直す人が増えています。
非常食、懐中電灯、モバイルバッテリー――
これらはすでに多くの家庭で準備されています。

しかし、防災バッグには
多くの人が見落としている致命的な盲点があります。

それが、
「自分の存在を知らせるための備え」です。


■① 防災バッグは「生き延びる装備」だけになっている

調査によると、防災用品として準備が進んでいるのは、

・非常食
・照明器具
・電源(モバイルバッテリーなど)

といった、生活維持に直結するものです。

一方で、

・音の出るもの

の準備率は、わずか17%程度にとどまっています。

つまり多くの防災バッグは、
「生き延びたあとを支える装備」はあっても、
「助けを呼ぶ装備」が抜け落ちている状態です。


■② 音の重要性は理解されているのに、備えは進まない

興味深いのは、
災害時における「音の重要性」自体は、
約7割以上の人が理解しているという点です。

それでも備えが進まない理由は明確です。

・自分が使う場面を想像しにくい
・どんな対策をすればいいかわからない
・「まさか自分が」という正常性バイアス

必要性は分かっている。
しかし、行動に落ちない

これが、防災における典型的なギャップです。


■③ 「助けを呼ぶ状況」は、意識的に想像しないと見えない

災害時に音が必要になる場面は、

・がれきに挟まれ動けない
・声が出ない
・体力が尽きている
・周囲が騒音で満ちている

こうした状況です。

しかし多くの人は、防災を考えるときに
「避難する自分」しか想像していません

「動けない自分」
「声を出せない自分」

を想定しない限り、
音の備えは後回しになります。


■④ 大声より、確実なのは「小さくても通る音」

調査では、
災害時に有効な音の手段として、

・ホイッスル
・大声
・スマートフォンのアラーム

が挙げられています。

中でも評価が高いのは、ホイッスルです。

理由は単純で、

・少ない力で音が出せる
・長時間使える
・音が遠くまで通る

からです。

大声は、
体力・気力が残っていなければ使えません。


■⑤ 持っていない、持っていても使えない現実

防災用ホイッスルを

・持っていない人:約7割
・外出時に携帯している人:1割未満

という現実もあります。

さらに、

・どこにあるかわからない
・バッグの奥にしまい込んでいる

というケースも多く、
「持っている=使える」ではないことが分かります。

防災は、
使える状態で初めて意味があるという典型例です。


■⑥ 防災バッグの盲点は「初動以外」にある

多くの防災バッグは、

・逃げる
・耐える
・生き延びる

ことを前提に作られています。

しかし災害では、

・動けない
・閉じ込められる
・誰かに気づいてもらう必要がある

局面も確実に存在します。

そのときに必要なのは、
助けを呼ぶための最小装備です。


■⑦ 防災バッグは「生活+発見」の両輪で考える

これからの防災バッグは、

・生活を支えるもの
・自分の存在を知らせるもの

この両方が必要です。

どちらか一方が欠けると、
防災は不完全になります。

特に音の備えは、

・小さい
・軽い
・安価

にもかかわらず、
生死を分ける可能性があります。


■まとめ|防災バッグに足りないのは「最後の一声」

防災バッグの盲点は、
「足りない物」ではなく、
想像されていない場面にあります。

動けないとき、
声が出ないとき、
誰かに気づいてもらうための手段。

それを補うのが、
音の出る備えです。

防災バッグを見直すときは、
「生き延びた自分」だけでなく、
「助けを待つ自分」も想像してみてください。

そこに、防災の本当の抜け落ちがあります。

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