政府が新たに創設する「防災力強化総合交付金」は、自治体の現場対応力を底上げするための制度です。
2026年度当初予算案には35億円が計上され、巨大地震が想定される地域を中心に支援が行われる見込みです。
防災は「想定しているかどうか」で差がつきます。
この制度は、その“想定”を“実行力”に変える仕組みと言えます。
■① 想定される対象地域とは
初年度は、特に巨大地震リスクが高い地域が対象です。
・南海トラフ地震想定地域
・日本海溝・千島海溝周辺の海溝型地震想定地域
いずれも広域・甚大被害が想定されるエリアです。
■② 交付金の主な活用内容
自治体が実施する防災力向上施策に活用されます。
・訓練・図上演習の強化
・救助資機材・医療機器の整備更新
・救急搬送体制の強化
・医療スタッフ・医薬品の備蓄
・電気・水道・通信などライフライン確保支援
「物」と「人」の両面を強化する内容です。
■③ 訓練強化が持つ本当の意味
元消防職員として感じるのは、
装備よりも“判断の速さ”が命を分けるということです。
被災地派遣やLO活動では、
訓練を積んでいる自治体ほど初動が早く、混乱が少ない傾向がありました。
計画書があるだけでは足りません。
繰り返しの実践が必要です。
■④ 救急・医療体制の底上げ
大規模災害では、
救急搬送の遅れが致命的になることがあります。
救急車両の確保、搬送ルートの見直し、
医療機関との連携強化は“目立たないが重要な備え”です。
■⑤ ライフライン確保の現実
停電・断水・通信障害は必ず起こります。
現場では「水がない」「連絡が取れない」ことで、
救助活動が止まる場面もありました。
電源確保や通信確保は、
救命活動そのものを支える基盤です。
■⑥ 計画だけで終わらせない仕組み
この制度の狙いは、
地域防災計画を“実動可能な体制”へ引き上げることです。
紙の計画から、動ける組織へ。
■⑦ 自治体任せにしない視点
交付金は自治体を支援する制度ですが、
住民側の主体性も重要です。
「行政がやってくれる」ではなく、
地域でどう活かすかが問われます。
■⑧ 私たちにできること
・地域のハザードマップ確認
・自治体訓練への参加
・家庭内備蓄の見直し
制度を知ることも防災の一歩です。
■まとめ|交付金は“行動力”を高める道具
防災力強化総合交付金は、
自治体の現場対応力を高めるための新制度です。
結論:
防災は「計画」よりも「動ける体制」が命を守る。
被災地で活動してきた立場から言えるのは、
準備していた地域ほど被害を最小化できるという事実です。
制度をきっかけに、
地域全体の防災力が底上げされることが期待されます。
出典:内閣府(防災情報ポータル)、読売新聞 2026年2月報道 など

コメント