【防災士が解説】防災×雪害|車の積雪立ち往生は命に関わる。阿蘇で策定された対応マニュアルの意味

冬の雪害は、豪雪地帯だけの問題ではありません。
2025年3月、熊本県阿蘇地域で発生した「季節外れの積雪」により、多数の車が立ち往生する事態が起きました。
この経験を教訓に、阿蘇地域振興局は車の積雪立ち往生に対応する救助マニュアルを策定しました。


■① 何が起きたのか|阿蘇での積雪立ち往生

2025年3月18日、阿蘇市の県道(通称ミルクロード)や国道265号で、
約40台の車両が積雪により立ち往生しました。

・救助・搬送された人は約50人
・一時避難所の開設
・放置車両の撤去完了まで3日

という、想定以上に長期化する対応となりました。


■② なぜ対応が難航したのか

この時、発令されていたのは「警報」ではなく注意報でした。

そのため、
・事前の体制構築が十分でなかった
・レンタカーや観光バスも含まれていた
・外国人観光客が約4割を占めていた

といった要因が重なり、現場対応に時間を要しました。


■③ マニュアル策定のポイント

この反省を踏まえ、阿蘇地域振興局は
警察・消防・自治体と連携し、役割分担を明確化しました。

主な役割分担

消防:救助・搬送を担当
警察:交通規制・安全確保
振興局(道路管理者):通行止め・道路管理
自治体:一時避難所の開設
振興局:水など緊急物資の提供

「誰が・何を・いつやるか」を事前に決めた点が最大の特徴です。


■④ 積雪立ち往生の本当の危険性

車内にいれば安全、と思われがちですが、実際は違います。

・寒さによる体力消耗
・低体温症
・燃料切れ
・トイレ問題
・情報不足による不安

救助が遅れれば、命に直結するリスクになります。


■⑤ 観光地ならではの課題

阿蘇では、
・ノーマルタイヤのレンタカー
・雪に不慣れな観光客
・外国人旅行者

が多く含まれていました。

これは全国の観光地に共通する課題で、
「雪が少ない地域ほど、積雪に弱い」という現実を示しています。


■⑥ 私たちができる備えと判断

行政の対応強化と同時に、個人の判断も重要です。

・積雪・凍結時は無理に運転しない
・冬季はスタッドレスタイヤを装着
・天気予報だけでなく路面情報を確認
・「行けるか」より「戻れるか」を考える

この判断が、立ち往生を防ぎます。


■⑦ 防災は現場の失敗から進化する

今回のマニュアルは、
「一度起きたトラブルを、次に活かす」実践的な防災です。

県はこの事例を参考に、
県内全域で体制強化を進めるとしています。


■⑧ まとめ|雪は南国でも命を奪う

雪害は北国だけの問題ではありません。

・注意報レベルでも立ち往生は起きる
・車内待機は安全ではない
・事前の判断が最大の防災

阿蘇の教訓は、
「無理をしない決断こそが命を守る」
という事実を、私たちに教えています。

冬の運転前に、
「今日は行かない」という選択肢を持つこと。
それも立派な防災です。

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