【防災士が解説】防災×食料安全保障|日本の食料自給率は本当に危ないのか?

「日本の食料自給率は低い」
そんなニュースを一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

災害大国である日本にとって、食料の確保は“命を守る防災”の中核です。
今回は、防災の視点から日本の食料自給率と、私たちが備えるべき現実を整理します。


■① 日本の食料自給率はどれくらいか

日本の食料自給率(カロリーベース)は約38%前後とされています。

これは、私たちが消費する食料の約6割を海外に依存しているという意味です。

主要国と比較すると、
・アメリカ:100%超
・フランス:100%超
・ドイツ:約80%
・イギリス:約60%

日本は先進国の中でも低い水準にあります。


■② なぜ自給率が低いのか

理由は複合的です。

・農地面積が限られている
・農業従事者の高齢化
・飼料や肥料を海外に依存
・食生活の欧米化

特に問題なのは、畜産用の飼料や肥料の多くを輸入に頼っている点です。
仮に輸入が止まれば、肉や乳製品の供給も影響を受けます。


■③ 「すぐ食べ物がなくなる」は本当か

結論から言えば、すぐに飢える状況になる可能性は低いです。

日本は備蓄制度を持ち、
・政府備蓄米
・民間在庫
・流通ストック

などが存在します。

しかし、
「物流が止まる」
「港が被災する」
「円安や国際紛争で輸入が滞る」
といった状況が重なれば、価格高騰や品不足は現実になります。

防災士として感じるのは、
“物はあるが、届かない”リスクのほうが大きいという点です。


■④ 災害と食料の関係

大規模地震や豪雨が起きると、
・道路寸断
・港湾機能停止
・物流拠点の被災

が発生します。

東日本大震災では、コンビニやスーパーの棚が数日で空になりました。

行政の公助が届くまでには時間がかかります。
だからこそ「自律型備蓄」が重要です。


■⑤ 家庭でできる食料安全保障

今日からできることはシンプルです。

・最低3日、できれば7日分の食料備蓄
・ローリングストックの徹底
・水は1人1日3リットルを目安
・カセットコンロなど熱源の確保

特別な非常食だけでなく、
普段食べているものを少し多めに買うだけでも十分です。


■⑥ 防災士として見た“よくある誤解”

現場で多かったのは、
「行政が何とかしてくれる」という過信です。

行政も全力で動きます。
しかし、同時多発災害では支援は優先順位がつきます。

高齢者施設や医療機関が優先され、
一般家庭への支援は時間差が生じます。

これは行政が言いにくい現実です。


■⑦ 食料安全保障は国家だけの問題ではない

食料自給率は国家政策の問題でもあります。

しかし同時に、
・地域の農業を支える
・地元産を選ぶ
・フードロスを減らす

といった行動は、私たち一人一人ができる“生活防災”です。

食料は「買うもの」であると同時に「守るもの」でもあります。


■⑧ 不安を煽らず、現実を知る

食料自給率が低い=即危機、ではありません。

大切なのは、
正しく知り、
過度に恐れず、
現実的に備えること。

防災は“極端”にならないことが継続のコツです。


■まとめ|食料安全保障は「静かな防災」

日本の食料自給率は低い水準にあります。
しかし、すぐに飢えるわけではありません。

本当のリスクは、
輸入依存+物流寸断が重なったとき。

結論:
家庭の備蓄こそが、最も確実な食料安全保障です。

被災地で感じたのは、
備えていた家庭ほど落ち着いていたという事実です。

食料は命。
だからこそ、今日できる小さな備えを。

■出典
農林水産省「食料自給率について」
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/index.html

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