首都直下地震は、都市機能や住民生活に甚大な影響を与える可能性があります。最新の被害想定と減災対策の重要性について、防災士の視点から解説します。
■① 新たな被害想定の概要
2025年12月19日、中央防災会議の「首都直下地震対策検討ワーキンググループ」は、12年ぶりに新たな被害想定を公表しました。マグニチュード7.3の都心南部直下地震が冬の夕方に発生した場合、死者約1万8000人、避難者約480万人、経済被害最大約83兆円が想定されています。
■② 建物被害の内訳
約40万棟の建物が全壊・焼失する計算で、全壊は約11万2000棟、焼失は約26万8000棟です。全壊・焼失棟数が前回想定よりも20万棟少ないのは、建物の耐震化や感震ブレーカー普及などの効果が反映された結果です。
■③ 危険密集市街地の改善状況
東京都内の危険密集市街地は、老朽建物の建て替えや主要生活道路整備により、1683ヘクタールから58ヘクタールに減少しました。ただし、木造住宅密集市街地では大規模な延焼火災が依然として発生する可能性があります。
■④ 死者数の詳細
建物倒壊による死者は約5300人、火災による死者は約1万2000人です。前回想定から減少しましたが、目標である10年間で半減には達していません。災害関連死は約1万6000~4万1000人と推計されています。
■⑤ 東京都の見解
東京都の小池知事は、新たな被害想定が首都圏の実態を十分に反映していないと指摘。電力需要減少の考慮不足や火力発電所の停止期間の過大見積もりなど、実際の被害を過大に評価している可能性を指摘しました。
■⑥ 減災対策の必要性
建物の耐震化、家具の固定、感震ブレーカーの設置、避難所環境の改善、在宅避難の備えなど、個人・地域・行政レベルでの多層的な減災対策が必要です。特に首都圏では、避難所の混雑や生活物資不足への対応が重要課題となります。
■まとめ|首都直下地震に向けた備え
首都直下地震では、建物耐震化・延焼防止・避難所整備・在宅避難準備など、個人と地域が協力した多層的な減災対策が命を守る鍵となる。
防災士として現場経験を踏まえると、日頃からの備蓄・家具固定・避難計画の確認が、被害を最小限に抑える最も基本的な手段である。

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