選挙期間中に拡散された「政見放送の改ざん動画」。
AIで加工され、候補者が踊り出す――
そんな“ありえない映像”が160万回以上表示されました。
これは単なる悪ふざけではありません。
情報災害(インフォデミック)という、現代型リスクの象徴です。
防災の視点で見ると、これは「社会機能を揺るがす危機」でもあります。
■① 何が起きたのか
衆院選用の政見放送がAIで改ざんされ、
・演台を押し倒す
・踊り出す
といった偽動画がSNSに投稿されました。
投稿者は後に削除・謝罪しましたが、
表示回数は160万回超。
拡散スピードは、災害級です。
■② なぜ問題なのか
政見放送は、公職選挙法により
「そのまま放送しなければならない」
と定められています。
しかし、
SNS上での改変拡散を直接禁じる明確な規定は限定的です。
つまり、
法制度がデジタル社会に追いついていない現実
があります。
■③ 情報も“災害”になる
防災の世界では、
・デマ
・誤情報
・不確かな噂
が混乱を拡大させる事例は数多くあります。
地震後の「○○が崩壊した」という誤情報で
不要な避難が発生したケースもありました。
今回のAI偽動画も、構造は同じです。
■④ 現場で多かった誤解
防災士として感じる誤解は、
「自分は騙されない」
という過信です。
実際は、
・動画は本物に見える
・加工技術は急速に進化
・感情を揺さぶる内容ほど拡散
という特徴があります。
判断力は、平時に鍛えるしかありません。
■⑤ 自律型避難と同じ発想
災害時の基本は、
自律型避難。
誰かの指示を待つのではなく、
自分で判断する力を持つこと。
情報も同じです。
・発信元は誰か
・公式発表か
・一次情報か
を確認する習慣が重要です。
■⑥ 行政が言いにくい本音
正直に言えば、
ネット空間の偽情報は
完全には止められません。
だからこそ、
「見抜く力」を持つ社会づくりが必要です。
制度だけでは守れない領域があります。
■⑦ 今後広がるAIリスク
生成AIは、
・政治
・災害
・金融
・医療
あらゆる分野で影響を持ちます。
映像・音声の改ざんは、
今後さらに巧妙になります。
「動画だから本物」という時代は終わりました。
■⑧ 今日からできる対策
・公式アカウントをフォロー
・出典を確認
・感情を煽る投稿は一旦保留
・拡散前に深呼吸
これだけでも被害は減らせます。
情報もまた、備えが必要です。
■まとめ|情報も守るべき社会インフラ
結論:
AI偽動画は“情報災害”。見抜く力が最大の備え。
防災士として強く感じるのは、
社会が混乱するのは
物理的な破壊だけではない、ということ。
判断を狂わせる情報は、
命や民主主義を揺るがします。
備えるべきは、
水や食料だけではありません。
冷静な判断力も、防災です。
出典:読売新聞「政見放送をAIで改ざん…」(2026年2月1日)

コメント