災害時の学校対応で混乱を生む大きな要因は、期待値のズレです。
「これくらいはできるはず」「すぐに元通りになるはず」という思い込みが、現場を疲弊させます。
防災×GIGAでは、できること以上に「できないこと」を先に共有する視点が重要です。
この記事では、防災士の立場から、期待値調整としてのGIGA運用を整理します。
■① 災害時は「全部できない」状態から始まる
発災直後、学校現場は次の制約を受けます。
・停電や通信障害
・教職員の参集遅れ
・校舎被害や避難所対応
この中で、通常運用を期待すると必ず破綻します。
■② GIGAは万能ではないと最初に伝える
GIGA端末があっても、
・常時オンラインとは限らない
・即時返信はできない
・個別対応は難しい
この現実を先に伝えておくことで、不満や混乱は大きく減ります。
■③ 防災士から見て多かった失敗
現場で多かったのは、
・沈黙=何もしていないと誤解される
・一部の情報だけが独り歩きする
・期待に応えようとして無理をする
結果として、教職員の負担が急増します。
■④ 「今できること」だけを明確にする
すべてを説明する必要はありません。
・今は安否確認のみ
・連絡は一日一回
・学習再開は未定
このように、できる範囲を区切って示すことが重要です。
■⑤ 行政が言いにくい本音
行政としても、すべてを即時に回復させることはできません。
本音では、「過度な期待を持たないでほしい」と感じています。
学校が現実的なラインを示すことは、行政対応を守ることにもつながります。
■⑥ 自律型判断は「待つ力」も含む
自律型避難や自律型行動は、すぐ動くことだけではありません。
・状況を見て待つ
・無理をしない
・次の判断に備える
GIGAで状況共有ができれば、家庭側も冷静に待てます。
■⑦ 情報の頻度より「一貫性」を重視する
頻繁な情報更新よりも、
・方針がブレない
・言っていることが一貫している
この方が、信頼は保たれます。
■⑧ 期待値調整は防災の一部
期待値を下げることは、諦めではありません。
・現場を守る
・長期対応を可能にする
・回復を早める
立派な防災対策です。
■まとめ|「できない」を共有できる学校は強い
防災×GIGAの本質は、万能化ではありません。
現実を正しく共有する力です。
結論:
防災×GIGAでは、「できない前提」を共有することが混乱を防ぎ、現場を守る最大の防災になる。
防災士として現場を見てきた中で、
最初に対応範囲を明確にしていた学校ほど、保護者不安が抑えられ、教職員の負担も長期化しませんでした。
期待値調整は、静かですが非常に強力な防災です。

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