【防災士が解説】防災×GIGAスクール構想⑫|「できない前提」を共有することが混乱を防ぐ

災害時の学校対応で混乱を生む大きな要因は、期待値のズレです。
「これくらいはできるはず」「すぐに元通りになるはず」という思い込みが、現場を疲弊させます。
防災×GIGAでは、できること以上に「できないこと」を先に共有する視点が重要です。

この記事では、防災士の立場から、期待値調整としてのGIGA運用を整理します。


■① 災害時は「全部できない」状態から始まる

発災直後、学校現場は次の制約を受けます。

・停電や通信障害
・教職員の参集遅れ
・校舎被害や避難所対応

この中で、通常運用を期待すると必ず破綻します。


■② GIGAは万能ではないと最初に伝える

GIGA端末があっても、

・常時オンラインとは限らない
・即時返信はできない
・個別対応は難しい

この現実を先に伝えておくことで、不満や混乱は大きく減ります。


■③ 防災士から見て多かった失敗

現場で多かったのは、

・沈黙=何もしていないと誤解される
・一部の情報だけが独り歩きする
・期待に応えようとして無理をする

結果として、教職員の負担が急増します。


■④ 「今できること」だけを明確にする

すべてを説明する必要はありません。

・今は安否確認のみ
・連絡は一日一回
・学習再開は未定

このように、できる範囲を区切って示すことが重要です。


■⑤ 行政が言いにくい本音

行政としても、すべてを即時に回復させることはできません。
本音では、「過度な期待を持たないでほしい」と感じています。

学校が現実的なラインを示すことは、行政対応を守ることにもつながります。


■⑥ 自律型判断は「待つ力」も含む

自律型避難や自律型行動は、すぐ動くことだけではありません。

・状況を見て待つ
・無理をしない
・次の判断に備える

GIGAで状況共有ができれば、家庭側も冷静に待てます。


■⑦ 情報の頻度より「一貫性」を重視する

頻繁な情報更新よりも、

・方針がブレない
・言っていることが一貫している

この方が、信頼は保たれます。


■⑧ 期待値調整は防災の一部

期待値を下げることは、諦めではありません。

・現場を守る
・長期対応を可能にする
・回復を早める

立派な防災対策です。


■まとめ|「できない」を共有できる学校は強い

防災×GIGAの本質は、万能化ではありません。
現実を正しく共有する力です。

結論:
防災×GIGAでは、「できない前提」を共有することが混乱を防ぎ、現場を守る最大の防災になる。

防災士として現場を見てきた中で、
最初に対応範囲を明確にしていた学校ほど、保護者不安が抑えられ、教職員の負担も長期化しませんでした。
期待値調整は、静かですが非常に強力な防災です。

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