災害時、SNSは情報拡散の手段として非常に強力ですが、同時にデマや誤情報が瞬時に広がるリスクもあります。
能登半島地震の事例では、SNSを通じて数日で仮設トイレが届けられ、民間ボランティア1500人以上が集まるなど、支援を“つなぐ”力も発揮されました。
防災士として、災害現場でのSNS活用の実態と課題、そして正しい使い方について解説します。
■① SNSがもたらす支援の輪
2024年1月1日の能登半島地震では、発災直後、東京にいた宿泊施設運営者の山本亮さんも現地情報をSNSで収集しました。電話は通じず、現地の友人たちのFacebookやLINEの投稿が唯一の情報源に。
発災から1週間、現地に戻った際には避難所のトイレが不足し、悪臭やゴミの山で被災者のストレスが限界に達していました。
山本さんは「仮設トイレを必要としています」とSNSに投稿。数時間で支援の申し出が届き、数日後には4つの仮設トイレが設置されました。
SNSを通じて、顔の見えない人々の善意が支援につながる現実を目の当たりにした瞬間です。
■② 民間ボランティアとSNS
山本さんらは宿泊施設を拠点とした民間ボランティアセンター「のと復耕ラボ」を立ち上げ、SNSを通じてボランティア募集を行いました。
2025年8月までに受け入れた1500人超のボランティアの約4分の1がSNS経由で参加。口コミやSNS投稿が支援の輪を広げる役割を果たしました。
しかし、物資支援はSNS経由ではすぐに中止。善意の物資と現地の必要との間にタイムラグが生じ、過剰供給や混乱を招くリスクがあったためです。
■③ 災害直後のSNS活用の限界
災害直後はデマも急増します。
2016年熊本地震では「動物園からライオンが逃げた」という虚偽情報がSNSで拡散されました。能登半島地震でも、住所付きの救助要請や崩落した橋の加工画像が広まりました。
救助要請にSNSは向いていない場合も多く、「#救助」のツイート2171件のうち、実際の救助要請はわずか16.5%に過ぎませんでした(2018年西日本豪雨調査)。
■④ デマ情報への対策
SNSの最大の懸念はデマ情報です。善意からの情報拡散でも、被害拡大につながる可能性があります。
専門家は、以下を推奨しています。
・投稿日時や添付画像を確認する
・自治体や公的機関の情報を優先する
・情報発信者の信頼性を確認する
SNS情報は速さが強みですが、正確性の担保が不可欠です。
■⑤ 効果的なSNS活用のポイント
FUKKO DESIGNでは、災害時の行動指針をSNS向け画像形式で提供しています。
ポイントは以下の3つです。
- 信頼できる情報源を平時からフォロー
- 顔の見えるSNSで発信(Facebook・Instagramなど)
- 拡散前に情報の正確性を確認
これにより、デマを避けつつ支援や情報を迅速に伝えることが可能になります。
■⑥ 「つながる共助」の実践
SNSを活用することで、時間や場所を超えた新しい共助の形が生まれます。
・被災者が投稿した復興状況を見て支援が生まれる
・ボランティア参加者がSNSで発信し、さらなる支援の輪を拡大
こうした顔の見えるつながりが、復興を長期的に支えます。
■⑦ デジタル格差への配慮
一方、SNSの恩恵を受けられない層も存在します。高齢者や通信環境が整わない人々には情報が届きにくく、デジタル格差が問題になります。
自治体では、スマホ教室やデジタル推進委員など、地域内で支援する仕組みを整備。
若者が紙の回覧板に書き出したり、代理投稿したりすることで、デジタルとアナログの橋渡しも進められています。
■⑧ 災害時SNSの正しい認識
SNSは万能ではありません。
災害時には、正確な情報と善意の支援を結びつけるツールとして使うことが重要です。
・デマの拡散は避ける
・情報の出所を確認する
・顔の見える発信で支援をつなぐ
これらを意識することで、災害復興の力となります。
■まとめ|SNSは「つなぐ力」を持つ防災ツール
災害時のSNS活用には、
・速さとつながりの利点
・デマや誤情報のリスク
両面があります。
結論:
SNSは正しく使えば、物資・人・情報をつなぎ、災害復興を加速する強力なツールとなる。
防災士としての現場体験からも、顔の見える発信が復興支援の輪を生む力を持つことは実感しています。
ただし、必ず公的機関の情報を確認し、冷静な判断と適切な拡散が不可欠です。

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