【防災士が解説】AIデマから家族を守る力|災害時に“騙されない判断”をつくる防災

生成AIの進化で、写真や動画は「見た目だけ」では本物かどうか分からない時代になりました。選挙でも災害でも、AIデマは同じ構造で広がります。
防災で一番怖いのは、物資不足より先に「判断が壊れること」です。だからこそ、情報に対する“守る力”を、普段から備えとして持っておく必要があります。


■① AIデマとは何か|いま起きている変化

AIデマは、生成AIなどを使って作られた「もっともらしい嘘」です。特徴は、内容よりも“見た目の説得力”で人を動かすこと。
・本物そっくりの画像や動画
・一部だけ切り抜いた映像
・違う場所・違う時期の写真の使い回し
・それっぽい言葉で不安を刺激する文章
災害時は時間がないため、こうした情報ほど拡散されやすくなります。


■② なぜ防災で致命的になるのか|判断が遅れる・分断が起きる

災害時の行動は「早いほど良い」ではなく、「正しい情報で迷いを減らすほど良い」です。
AIデマが入ると、次のような被害が起きます。
・避難のタイミングが遅れる(様子見が長引く)
・誤った場所へ集まる(避難所デマ、道路デマ)
・家族内で言い争いが起きる(信じる/信じないの分断)
防災は協力が命です。情報で分断されると、備えが一気に弱くなります。


■③ よくある誤解|「それっぽい」=正しい

防災士から見て実際に多かった失敗は、「それっぽい言い方」に引っ張られることです。
・専門用語が多い
・断定口調で不安を煽る
・“内部情報”“関係者から聞いた”を名乗る
こうした情報は、当たっていそうに見えますが、根拠が薄いことが多いです。見た目の強さと正しさは別物です。


■④ 現場で見た“情報の連鎖”|小さな嘘が大きな混乱を生む

被災地派遣やLOとして避難所支援に入ったとき、情報の混乱が人の動きを止める場面を何度も見ました。
「ここは危ないらしい」「あそこは物資がないらしい」――根拠の薄い話が回ると、住民も職員も動きが鈍り、優先順位が崩れます。
元消防職員として感じたのは、現場は“情報の渋滞”が起きた瞬間に弱くなるということです。だから、嘘を見抜く以前に「拡散しない仕組み」を家庭に入れておくのが強い防災になります。


■⑤ やらなくていい行動|不安を増幅させるクセを切る

・見た瞬間に家族へ転送する
・怒りや恐怖のままリポストする
・一つの投稿だけで判断する
・コメント欄の多数派を根拠にする
不安な時ほど、まず止まる。これだけで“情報災害”の被害は減ります。


■⑥ 今日できる最小行動|30秒ルールで守る

今日からできる最小行動は、たった3つです。
1)共有する前に30秒止まる
2)発信元が「公式」か確認する
3)同じ内容を別の複数の情報源で確認する
この“止まる仕組み”があると、家族の判断が軽くなります。自律型避難と同じで、誰かが助けてくれる前提ではなく、自分で確認して動ける状態を作ります。


■⑦ 行政側が言いにくい本音|全部は否定できない、だから住民の確認力が要る

行政や報道は、偽情報をすべて即座に否定できるわけではありません。確認には時間がかかります。その間に拡散は進みます。
だからこそ、住民側の“確認力”が必要になります。制度や発表を待つだけでなく、家庭内で「確認してから共有する」運用を固定化しておくと、非常時に強くなります。


■⑧ 家族を守る運用|家庭の「情報担当」を決める

家庭内で効くのは、道具より運用です。
・家族の中で「公式確認担当」を決める
・避難情報は自治体・気象・防災の公式から見る
・家族LINEには「未確認は流さない」を合言葉にする
・子どもには「怖い情報ほど一回確認」を教える
情報も備蓄と同じで、ルール化すると強いです。


■まとめ|AIデマから守る力は“防災力”そのもの

生成AI時代、偽情報は誰でも作れます。だから、防災では「騙されない」より「拡散しない」「確認してから動く」を仕組みにするのが現実的です。
情報で判断が壊れなければ、避難も備えも回ります。

結論:
AIデマ対策の最適解は「共有前に止まる」「公式で確認する」を家庭ルールにすること。

防災士として現場を見てきた立場から言えば、非常時に強い人は“速い人”ではなく“確認してから動ける人”です。判断を守る仕組みを、今日から備えとして育てていきましょう。

出典:政府広報オンライン「インターネット上の偽情報や誤情報にご注意!」
https://www.gov-online.go.jp/article/202403/entry-5920.html

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