大規模災害では、避難所の状況、必要物資、支援の進み具合がバラバラに把握されがちです。
その結果、「足りない所に届かない」「同じ所に偏る」「現場が疲弊する」が起きます。
被災地派遣の現場でも、避難所側は困っているのに上位機関に伝わらない、逆に上位機関は情報がなく優先順位が付けられない、という断絶を見てきました。
この“断絶”を減らすために重要になるのが、避難所運営に関する情報の見える化です。
この記事では、SOBO-WEBを「避難所運営情報を共有する仕組み」として捉え、現場で何が変わるのかを整理します。
■① SOBO-WEBが必要になる理由
災害時の避難所では、次の情報が日々変わります。
・避難者数の増減
・要配慮者の状況
・不足物資
・トイレや衛生の課題
・暑さ寒さなどの環境問題
これを紙や口頭だけで回すと、集計が遅れ、判断が遅れ、支援が偏ります。
SOBO-WEBのような仕組みは、情報を共有し、支援の優先順位を付けやすくするために必要です。
■② 何ができるか|避難所の状態を“共通言語”で共有する
避難所の困りごとは、表現がバラバラだと伝わりません。
仕組み化の価値は「共通言語」で共有できることです。
・トイレ:数、故障、清掃状況
・水:供給状況、給水の頻度
・食:配給状況、アレルギー対応
・寝:スペース、毛布、寒暖
・医療:体調不良者、感染症
こうした項目が整理されているほど、支援が“早く”なります。
■③ 現場で起きやすい課題|入力が負担になる
便利な仕組みほど、現場の負担が問題になります。
・人が足りない
・入力する時間がない
・通信が不安定
・端末がない、充電できない
被災地派遣の現場でも、入力のために本来の支援が遅れる場面がありました。
だから運用では「入力項目を絞る」「最低限の更新頻度にする」など、現場に合わせた設計が必要です。
■④ 物資支援が変わる|“不足の見える化”が偏りを減らす
物資支援の偏りは、情報がない時ほど起きます。
・水は届くがトイレが足りない
・毛布はあるが段ボールベッドがない
・食はあるが衛生用品がない
不足が見える化されれば、「本当に足りないもの」が優先されます。
結果として、支援の無駄が減り、現場の疲労が下がります。
■⑤ 要配慮者支援に効く|“人数”ではなく“中身”を見る
避難所の人数だけでは、支援の重さは分かりません。
・高齢者が多い
・乳幼児が多い
・障がい者がいる
・医療機器が必要
こうした情報が共有されると、支援は「数」ではなく「必要性」で配分できます。
これは災害関連死リスクを下げる方向に働きます。
■⑥ 住民側の視点|混雑や環境を知ることは“自律型避難”につながる
避難所が満員で入れない、環境が合わず体調を崩す。
こうした問題は、住民側が情報を持てないことでも起きます。
避難所情報が共有されるほど、住民は次の判断がしやすくなります。
・混雑を避けて分散避難する
・要配慮者は早めに移動する
・車中泊や親戚宅などの選択肢を考える
避難の選択肢が増えるほど、命が守られやすくなります。
■⑦ 被災地派遣で見た現実|“情報が整う”と現場が落ち着く
被災地派遣の現場で感じたのは、情報が整っている地域ほど現場が落ち着くことです。
・どこが困っているかが分かる
・支援の優先順位が共有される
・同じ確認の繰り返しが減る
災害対応は、やる気より“仕組み”が人を守ります。
情報共有は、現場の心と体を守る土台です。
■⑧ 今日からできる最小行動(自治体・地域・住民)
・避難所の確認項目を「TKB+衛生」で揃える
・地域訓練で「情報を集める役」を決める
・住民は避難所だけに依存しない選択肢を家族で話す
・停電時の情報源(ラジオ)を用意する
・自治体の防災情報の入口を1つに絞って確認する
■まとめ|SOBO-WEBの価値は“避難所の困りごとを共通言語で見える化する”こと
SOBO-WEBは、避難所運営に必要な情報を共通言語で整理し、関係者が共有することで支援の優先順位を付けやすくする考え方・仕組みです。
不足物資や要配慮者の状況が見える化されることで、支援の偏りが減り、現場の疲労と混乱を下げる効果が期待できます。
一方で入力負担や通信課題があるため、平時から「項目を絞る」「最低限の更新頻度」を設計しておくことが重要です。
結論:
SOBO-WEBの本質は、避難所の状態を“共通言語で見える化”し、支援の抜け漏れと偏りを減らして現場の判断を安定させること。
防災士として被災地派遣で感じたのは、情報が整うだけで人は落ち着き、行動が安全側に寄るということです。情報共有は、命を守るインフラです。

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