【防災士・元消防職員が解説】防災×生活コスト|「ジムで入浴」は本当に家計と非常時の備えになるのか

災害時や長期停電を経験すると、「お金」「水」「体力」「生活リズム」が一気に崩れます。被災地派遣やLOとして現場に入った際も、避難生活の中で“入浴できないストレス”や“光熱費の不安”が、心身に大きく影響している場面を多く見てきました。今回は、防災の視点から見た「ジム利用と生活コスト」について整理します。


■① 入浴と光熱費は、どれくらい家計に影響するか

一般家庭での入浴は、1回あたりおおよそ
・ガス・電気・水道を含めて 100円前後
とされることが多いです。

毎日入浴した場合でも、
月あたり 2,000〜3,000円程度 が目安になります。

この数字を基準に考えることが重要です。


■② 「ジムで入浴=節約」になるのか?

仮に、
・月会費:15,000円
・毎日ジムで入浴

という前提で考えると、
光熱費削減分だけで元を取るのは現実的ではありません。

入浴代の節約額(2,000〜3,000円)に対し、
固定費としての会費が大きすぎるためです。

これは災害時の「コスパ判断」と同じで、
目的と手段を切り分けて考える必要があります。


■③ 見落とされがちな“隠れコスト”

現場感覚で特に注意したいのが、金額以外のコストです。

・移動時間
・交通費
・混雑によるストレス
・着替えや準備の手間

被災地でも、「使える設備があっても疲れて使えない」ケースは珍しくありません。
防災では“続けられるか”が最重要です。


■④ 防災視点で見る「入浴代替手段」

災害時、入浴できない期間はほぼ必ず発生します。
そのため、平時から以下を想定しておくことが重要です。

・体を拭く習慣(清拭)
・簡易シャワー・ウェットタオル
・温水を使わない清潔維持

ジム入浴に依存する生活は、
非常時に一気に破綻する可能性があります。


■⑤ ジム利用の本当の価値はどこにあるか

防災の観点から見ると、
ジムの価値は「節約」ではなく、次の点にあります。

・体力維持(避難・移動・復旧力)
・生活リズムの安定
・健康維持による医療費抑制
・孤立防止(外出の習慣)

被災地では、体力がある人ほど回復が早いのは明らかでした。


■⑥ 被災地で感じた「体を動かせる人」の強さ

避難所や仮設住宅では、
運動不足 → 体調悪化 → 外出減少 → 孤立
という負の連鎖が起きがちです。

日常的に体を動かす習慣がある人は、
・寒さ
・疲労
・ストレス
に対する耐性が明らかに高いと感じました。


■⑦ 防災的におすすめな考え方

もしジムを検討するなら、
次の視点で整理すると判断しやすくなります。

・節約目的では考えない
・健康・体力への投資として考える
・災害時に代替手段があるかを確認する
・固定費として無理がないかを確認する

これは非常用備蓄を選ぶときと同じ判断軸です。


■⑧ 今日できる最小の防災行動

まずは、
・自宅で入浴できない状況を想定してみる
・清拭や簡易入浴の準備を考える
・体力維持の手段を複数持つ

「一つに頼らない」ことが、防災の基本です。


■まとめ

ジムを“入浴代わり”に使うことで、
光熱費そのものが大きく節約できるわけではありません。

しかし、
・体力維持
・生活リズム
・心身の安定

という観点では、防災的な価値を持つ選択肢になり得ます。
大切なのは、「節約になるか」ではなく、
非常時にも壊れにくい生活構造になっているかです。

防災とは、命・健康・お金・心を同時に守る設計だと、現場を通じて強く感じています。

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