“屋内消火栓（しょうかせん）” は、
学校・病院・オフィス・商業施設・マンションなど
多くの建物に設置されている 「建物専用の消防設備」 です。
普段は扉の中に収納されていて気づきにくいですが、
火災時には 消火器を超える強力な消火能力 を発揮し、
“初期消火の切り札” となります。
この記事では、防災士の視点から
屋内消火栓の仕組み・対象火災・使い方・絶対の注意点 をまとめます。
■ ① 屋内消火栓とは？
建物内の火災に使う 水消火設備 で、
消防隊が来る前に、建物の人が使うことを想定した装置。
● 中に入っているもの
・ホース
・放水ノズル
・起動ボタン（またはバルブ）
・水が出るポンプにつながる配管
・消火栓本体の箱
● 特徴
・消火器より強力（圧力が高い）
・建物の各階に設置
・水量が多く、広い範囲を一気に消火できる
・専門訓練がないと使うのが難しい
■ ② 屋内消火栓が使える火災・使えない火災
● 使える火災
・A火災（紙・木・布など一般火災）
・建物内の火の初期段階
● 使ってはいけない火災
・油火災 → 水をかけると爆発的に燃え上がる
・電気火災 → 感電の危険
・天井まで火が回っている火災 → 近づけない
屋内消火栓は “使う場面が限られた強力装置” と覚えておく。
■ ③ 屋内消火栓の正しい使い方（3人いると最も安全）
屋内消火栓は 2人以上で使うのが基本。
慣れていない人が1人で扱うと、
ホースの反動で転倒し危険。
ここでは、初心者でも使える“基本の流れ”を解説します。
★ 使用手順（避難可能か必ず判断する）
● ① 火災を発見したら「119番」と「火災報知器」
初期消火より通報が先。
建物火災は秒単位で悪化する。
● ② 扉を開け、ホースを火元方向に伸ばす
ホースは 必ず全部引き出す。
巻いたまま使うと水が通らず危険。
● ③ 放水ノズルをしっかり握る（2人で保持）
ノズルの反動は強い。
“前の人がノズル担当、後ろの人がホース支え” が安全。
● ④ 起動ボタン or バルブを開く
・ボタン式 →「起動」ボタンを押すと水が噴射
・バルブ式 → 赤いハンドルを開ける
※一気に圧がかかるため注意。
● ⑤ 火元の手前の床に向けて放水
炎の先端ではなく、
“燃えている物体の根本” に水を当てる。
遠くから近づき、少しずつ攻めるのが基本。
● ⑥ 無理だと感じたら即避難
天井に火が回る
黒煙が大量
熱さが強い
視界が悪い
→ この時点で初期消火は不可能。命が危険。
■ ④ 屋内消火栓で“絶対やってはいけない”行動集
● ① 1人で使う
反動で転倒 → 放水が暴れて危険。
● ② 油火災に水をかける
火が爆発的に広がる。
● ③ 電気が流れている場所に水をかける
感電事故の原因。
● ④ ホースを全部伸ばさず使用
圧力がかかり、ホース破損・暴れで危険。
● ⑤ 天井に火が届いた状態で使用
既に「逃げ遅れ」の危険あり。
■ ⑤ 屋内消火栓は“避難しながらの消火”が鉄則
家庭用消火器と違い、屋内消火栓は
強力すぎて、
火の勢いが強い場所に近づくと死亡リスクが高い。
そのため、消火しながら「退路確保」が必須。
● 最も安全な使い方
「出口 → 火元方向に向けて使う」
＝ 逃げ道を背にして放水する
■ ⑥ まとめ｜屋内消火栓は“強力だが扱いは慎重”。避難判断こそ最重要
屋内消火栓は
・消火能力は非常に高い
・扱いは難しい
・使える火災が限られる
という“プロ用に近い消火設備”。
覚えておくべき3つ：
・A火災の初期段階にのみ使用
・基本は2人以上で操作
・少しでも危険なら即避難
建物火災は数十秒で状況が変わるため、
消火より命の安全を最優先にすること が最も大切です。
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