【防災士が解説】冬の避難所で「赤ちゃん連れ」が直面しやすい“食事の困りごと”

冬の避難所では、赤ちゃんを育てる家庭が特に悩むのが「食事まわりの問題」です。
被災地支援で現場に入った際、赤ちゃん用の食事に苦労していたご家庭の声を多く耳にしました。

大人の食事は支援物資で揃っても、赤ちゃんに適した食事は別問題。
ここでは、冬の避難所で実際に起きた“赤ちゃんの食事の困りごと”をまとめます。


■① 離乳食が足りない・種類が選べない

避難所に届く食料は、
・パン
・おにぎり
・カップ麺
・お弁当
が中心です。

赤ちゃん用の離乳食は量が少なく、届くまでに時間がかかることも多く、
「初日~2日目は、赤ちゃんが食べられるものがほとんどなかった」
という家庭もありました。


■② アレルギー対応が難しい

卵・乳・小麦アレルギーを持つ赤ちゃんは、特に困難が大きくなります。

支援物資の多くがアレルギー表示のない食品で、
親御さんが不安で手を付けられないケースもありました。

「食べられるものが何ひとつない」というご家庭も実際にあり、
周囲が代わりに物資を探し回る場面もありました。


■③ お湯がすぐに使えない(ミルク問題)

ミルクは
・清潔なお湯
・適温での調乳
が必要です。

しかし避難直後は、
・給湯器が使えない
・ポットが不足
・お湯の順番待ち
といった状況が多く、
「ミルクを作るまでに20〜30分かかった」
という声もありました。

赤ちゃんは待てません。
この問題は現場で特に深刻だと感じました。


■④ 使い捨て哺乳瓶がなく、衛生管理が難しい

避難所の水道は断水していることも多く、
哺乳瓶の洗浄・消毒が難しくなります。

支援物資が届くまでは、
・煮沸できない
・水が冷たすぎて洗えない
・消毒液が不足
といった衛生面の問題が続きました。

「哺乳瓶を洗えないからミルクを控える」という家庭も見られました。


■⑤ 赤ちゃんが食べない・ぐずる

避難所の音・寒さ・人の多さは、赤ちゃんにとって強いストレスです。
そのため、
・食欲が落ちる
・ミルクを飲まない
・授乳中に泣きだす
といった状況が頻繁にありました。

母親の方も疲れや不安で食事量が減り、
授乳に影響するケースがありました。


■⑥ 温かい食事を確保できない

冬は冷たい食事ばかりが続くと、赤ちゃんも体温が下がりやすくなります。

支援食が配られても、
・電子レンジが使えない
・温める設備がない
ため、離乳食が冷たいままで本当に困っている家庭が多くありました。


■⑦ 夜間、食事の準備ができない

夜間はスタッフが少なく、調乳スペースも閉鎖されることがあります。

そのため、
「夜中に泣いてもミルクが作れない」
「電気がなくて離乳食を温められない」
という声がたくさんありました。

親御さんが必死であやしながら夜を越す姿を見たことが忘れられません。


■⑧ 食料が確保できても“親が食べられない”

赤ちゃん優先で食べさせるため、
親が自分の食事を後回しにするケースが非常に多かったです。

親の栄養不足は、
・母乳量の低下
・免疫力の低下
・疲労の蓄積
につながり、避難生活がさらに苦しくなります。


■まとめ|赤ちゃんの食事は「物資」だけでは守れない

冬の避難所で赤ちゃんを守るには、
・温かい食事
・衛生的な調乳環境
・アレルギー対応
・離乳食の安定供給
が欠かせません。

しかし現場では、これらがすべて不足します。
支える仕組みづくりと周囲の理解が何より重要です。

結論:
赤ちゃんの食事を守ることは“命を守る行動そのもの”。避難所が全体でサポートしなければ成り立ちません。
被災地で多くの赤ちゃんと家族を見てきた経験から、強くそう感じています。

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