非常食セットは「家族の人数分あれば安心」ではありません。
災害現場で支援をしてきた経験から断言できます。
“誰が食べるのか”を考えていない非常食は、実際には使えない。
特に、子ども・高齢者・持病のある家族がいる家庭では、
非常食の設計そのものを変える必要があります。
今回はさらに深掘りし、家族別に必要な“実戦的な非常食セット”を解説します。
■① 子ども用非常食は「好き嫌い」を前提に準備する
避難所では子どもが配布食を食べられず
親が困る場面を何度も見てきました。
子どもが苦手な例:
- 濃い味のパン
- 魚系レトルト
- 大人向けカレー
- 独特な香りの缶詰
必要なのは…
✔ 普段から食べ慣れた味
✔ 甘すぎず食べやすい
✔ 栄養価の高い補助食
例:幼児食レトルト・栄養バランスゼリー・ウエハース・乾燥フルーツ
非常時ほど“食べられる安心”が心を守ります。
■② 高齢者には“噛みやすさ・塩分・水分”が最重要
高齢者が避難生活で倒れる原因の多くが、
「食べられない」「飲めない」からくる体力消耗です。
準備すべき食品:
- やわらか介護食レトルト
- 嚥下調整ゼリー
- カロリー補助飲料
- 味噌汁やスープ(塩分+水分補給)
とくに冬場は水分不足が深刻化しやすく、
スープ系を追加しておくことで命を守れます。
■③ 持病がある家族は“専用食”の確保が必要
災害現場で最も難しいのが 持病を抱えた方の食事。
例:
- 糖尿病 → 低糖質食品
- 腎臓病 → 塩分控えめ食品
- 食物アレルギー → 専用レトルト・専用クッキー
- グルテンフリー対応食品
避難所では配慮食は基本的に出ません。
自分で備えておくしかないのが現実です。
■④ “飽きがこない”ことも生存に関わる
非常食は3日目から突然つらくなる。
現地でよく聞いた声です。
飽き対策として:
- フレーバー違いのスープ
- トッピング(ふりかけ・海苔)
- 温かい飲み物(ココア・麦茶)
味に変化をつけるだけで、
食欲と気力が驚くほど戻ります。
■⑤ “温かさを確保する食事”が心を守る
災害で心が追い込まれると、
冷たい食事はさらにストレスを増やします。
温食を作るには:
- 使い捨て湯せんパック
- カセットコンロ(必ずガス6〜9本)
- インスタント味噌汁・スープ多数
避難所でも「温かい汁物」は最強の回復手段でした。
■⑥ 1週間分の備蓄は“セット方式”が最も管理しやすい
おすすめは“1日分セット”にする方法。
例:
- 朝:パン+スープ
- 昼:レトルト+ご飯
- 間食:栄養バー
- 夜:パスタソース+アルファ米
- 就寝前:ココア・クッキー
これを1袋にまとめて×7袋。
非常時に迷わず取り出せるのでストレスが減ります。
■⑦ 水は“食事用と飲料用”で分けて管理する
被災現場では、
「飲む水はあるが調理に使う水がない」
という状況が多発しました。
分類すると安心:
- 飲む水(2L×人数分×7日)
- 調理用水(アルファ米・スープ用)
- 歯磨き・手洗い用(生活用水)
水の管理は食とセット。
欠けるとどれも成立しません。
■⑧ 非常食は季節で変える“衣替え方式”が最強
冬:温かい汁物・カロリー高め
夏:さっぱり系・塩分補給・傷みにくい食品
春秋:バランス型
季節の災害に合わせて切り替えると、
どのタイミングで被災しても強い備蓄になります。
■まとめ|非常食は“家族の命ごとに最適化”する時代へ
結論:
非常食は「数をそろえる」のではなく、「家族仕様にカスタムする」ことで初めて実用に耐える。
災害現場で痛感したのは、
食べられない・飲めないことが
命の危険に直結するという事実。
家族一人ひとりに合った非常食セットは、
最強の“命の備え”になります。

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