“困りごと”に合わせれば、防災は必ずできる
〜避難・情報・環境のストレスを減らす方法〜
執筆者:防災士/地方自治体防災担当職員/被災地派遣経験あり
地震・豪雨・停電・避難所生活。
災害は「いつ・どこで・誰に」起きるか分かりません。
そして災害時、
発達障害(自閉スペクトラム症、ADHD、知的特性など)のある方が
困りやすいポイントは、はっきりしています。
✅ 予定や環境の急な変化が苦手
✅ 大きな音や光・人混みがストレス
✅ 頭が真っ白になりやすい
✅ 指示が抽象的だと動けない
✅ 情報が多いと混乱する
✅ コミュニケーションが難しい場合がある
この“特性”は弱点ではありません。
ただ、災害の場面で 困りやすいポイントが違う だけです。
だからこそ
「その人の困りごとに合わせた防災」が必要になります。
✅① まず家族がやるべきこと
抽象ではなく“具体的な指示”にする
災害時、曖昧な言葉は通じにくいことがあります。
❌「逃げるよ!」
⭕「靴を履いて、玄関へ行こう」
❌「早くして!」
⭕「カバンを持って、私の後ろに来て」
✅ 行動は短く・1つずつ
✅ 道順や動作を視覚で示すと安心
✅「何をするか」が決まっているとパニックが減る
✅② 写真・絵・文字での防災は効果が大きい
発達特性のある方は、
「目で見て理解する方が得意」なことが多いです。
✔ 避難場所の写真
✔ 非常持ち出し袋の中身の写真
✔ 避難の行動手順をイラスト化
✔ 家の危険箇所を写真で示す
✅ 言葉より視覚の方が“頭が混乱しにくい”
✅③ パニックを減らすために、事前の“予告”が大切
災害は突然ですが、
「地震が来たらこうする」「避難所はこんな場所」
と事前に知っているだけで不安が激減します。
✔ 写真や動画で避難所を知る
✔ 防災訓練を“静かな時間”に見学
✔ 避難バッグの中身を一緒に確認
✔ 災害アプリを事前に体験
「知らない場所」より
「知っている場所」の方が安心できます。
✅④ 避難所でストレスを減らす工夫
避難所は
・光
・音
・人
・匂い
が強い環境です。
特性によっては耐えられず、
パニック・体調悪化・過敏症状が出ることがあります。
だからこそ:
✅ イヤーマフ・耳栓
✅ アイマスク
✅ フード付きパーカー(視覚刺激を防ぐ)
✅ 落ち着けるタオルや香り
✅ 好きな飲み物や食べ物
✅ タブレットや本・イヤホン
「安心材料」を持つと、避難所のストレスが減ります。
✅⑤ 在宅避難も“正しい選択”
発達障害がある方にとって、
避難所は最適とは限りません。
✅ 家が安全
✅ 水や食料がある
✅ トイレが使える
✅ 電気・ガスの危険がない
→ この条件が揃うなら
在宅避難の方が穏やかに過ごせることが多い
避難所に「絶対に行かないといけない」わけではありません。
✅⑥ 非常持ち出し袋には“安心できる物”を入れる
✅ 水・食料
✅ 懐中電灯
✅ モバイルバッテリー
✅ イヤーマフ・耳栓
✅ アイマスク
✅ 常備薬
✅ お薬手帳
✅ 障害者手帳(写しでも可)
✅ 好きなもの(タオル・ぬいぐるみ・飲み物など)
「不安が減る物」は立派な防災品です。
✅⑦ 連絡カードは命を守る
✔ 名前
✔ 親や家族の名前・電話
✔ 持病・アレルギー
✔ 飲んでいる薬
✔ 苦手なこと
✔ 落ち着く対応の仕方
この1枚があるだけで、
救助・避難所での支援がスムーズになります。
✅⑧ 実際の被災地で起きたこと
・音・光・人混みでパニック
・避難所の匂いや声で過敏症状
・薬がなくなって体調悪化
・ルールが分からず誤解される
・誤情報を信じてしまう
しかし逆に、
✔ 音を防ぐものを持っていた
✔ 好きな物で落ち着けた
✔ カードで意思を伝えられた
✔ 家で避難ができた
こういう人は、穏やかに過ごせています。
特性を理解して準備したかどうかで、過ごし方は大きく変わります。
✅まとめ:発達障害がある方の防災は「その人に合う形」が正解
❌ みんなと同じ行動をする必要はありません
❌ 我慢させなくていい
❌ 避難所に必ず行く必要もない
✔ 視覚で示す
✔ 行動を具体化する
✔ 安心できる物を持つ
✔ 在宅避難も選択肢
✔ カードで意思を伝える
防災は「できる形で守ること」が一番大切です。
✅ 防災士として最後に
特性のある人は、
災害で困りごとが“少し違うだけ”。
準備すれば必ず守れます。
今日できる小さな準備はこれです👇
✔ 避難行動を写真で示す
✔ 避難バッグに安心できる物を入れる
✔ 連絡カードを作る
✔ 在宅避難できるか家を確認する
この4つだけで、大きな安心につながります。

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