令和6年能登半島地震では、
多くの住民が 避難所ではなく在宅避難 を選びました。
しかし現場に入った防災士として断言します。
能登の在宅避難は、
“これまでの災害で最も過酷なレベル” でした。
なぜ在宅避難が困難だったのか、
全国の家庭が学ぶべき教訓をまとめます。
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■① 停電が「広域・長期・冬」という最悪条件だった
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能登は冬の災害。
停電中は…
・暖房ゼロ
・照明ゼロ
・冷蔵庫アウト
・通信不能
・電気毛布も使用不可
特に高齢者は
低体温症の危険が実際に発生。
停電復旧までの時間は、
都市部より圧倒的に長かった。
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■② 断水が致命的だった(数週間レベル)
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現地で最も多かった声:
「水がまったく足りない」
● 飲み水
● 調理用
● トイレ用
● 介護用
● 手洗い・洗顔
生活の全てが水に依存している。
配水車もすぐに来ない地域が多く、
在宅避難の最大の壁は“水” だった。
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■③ トイレが“使えない・流せない”地域が非常に多かった
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家のトイレが使用不能になる理由:
・断水で流れない
・下水管破損
・汚水が逆流
・浄化槽が壊れる
そしてトイレ問題は
“生活の継続を止める最速の要因”。
簡易トイレを備えていた家庭は本当に強かった。
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■④ 家屋が“住める状態でも中身が使えない”
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外観は無事でも…
・室内が散乱
・家具が倒れて危険
・ガラス片が床一面
・壁がめくれる
・食器棚がこわれる
結果、
「家に入れない」「戻れない」
という家庭が続出。
在宅避難の大前提
= “家の中で安全に生活できる状態”
これが満たされなかった。
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■⑤ 情報が手に入らないストレスが過去最大級
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・停電
・基地局損傷
・Wi-Fi不可
= 電波が消える。
「何が起きているのか分からない」
「支援がいつ来るか分からない」
「家族に連絡できない」
情報途絶は精神に強く影響し、
在宅避難者の疲弊は非常に大きかった。
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■⑥ 冬場の“寒さ”が命に関わった
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在宅避難にとって最大の敵が寒さ。
・布団を重ねても寒い
・石油ストーブは換気が必要
・毛布不足
・カイロ不足
・車中泊も寒さで危険
特に高齢者への影響が大きく、
健康悪化の報告が多かった。
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■⑦ 在宅避難を選んだ理由にも“地域特有の事情”
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多くの住民が語った共通点。
・家を離れたくない
・ペットがいる
・農機具がある
・避難所が遠い
・高齢で移動が苦しい
・避難所がいっぱい
「家は無事だから」と思っても
内部が危険だったり、ライフラインが全滅していた。
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■⑧ 在宅避難で本当に必要だった物(リアル)
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✔ 水(1週間分以上)
✔ 簡易トイレ(家族人数×1週間)
✔ ポータブル電源
✔ カセットコンロ
✔ 毛布・寝袋(冬用)
✔ カイロ
✔ ライト
✔ スマホバッテリー
✔ ラジオ
✔ ビニール袋
✔ ブルーシート
✔ 食料(冷食・缶詰)
準備していた家庭は“圧倒的に強かった”。
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■⑨ 能登の在宅避難から学ぶべき教訓
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全国の家庭が今すぐ見直すべき点。
① 水は最低でも“1週間分”
② 簡易トイレは必須
③ 停電は“数日→数週間”と考える
④ 冬の暖房手段を複数持つ
⑤ スマホを守るバッテリーを複数
⑥ 室内の家具固定は絶対
⑦ 近所ネットワークが最強の支援になる
能登の在宅避難は
“備えの質”の差が命を直接左右した災害でした。
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■まとめ
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能登半島地震の在宅避難は、
・長期停電
・長期断水
・冬
・家屋損壊
・トイレ使用不能
・交通寸断
・情報遮断
という、最悪の条件が重なった状態。
この経験を全国で共有し、
一人でも多くの命を守る備えにつなげてください。
これが 防災士が現場で見た 能登の在宅避難の真実 です。

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