【元消防職員が解説】日本は“大規模山火事時代”に入った|防災×山林火災リスク

近年、日本各地で山林火災が頻発し、鎮火までに長期間を要する事例が増えています。専門家は「日本はすでに“大規模山火事時代”に入った」と警鐘を鳴らしています。これは一部の地域や異常事象ではなく、私たちの暮らしに直結する新たな防災課題です。


■① 乾燥だけではない山火事増加の背景

山火事の要因として真っ先に挙げられるのは空気の乾燥ですが、それだけでは説明がつきません。近年は降水量の極端な減少により、土壌そのものが深部まで乾き切る状態が各地で発生しています。これが火災の規模と長期化を招く大きな要因となっています。


■② 土壌水分量が示す危険信号

山林の安全度を測る指標の一つが「土壌水分量」です。通常この時期は20%前後ですが、10%を下回ると落ち葉や腐葉土が極めて燃えやすくなります。現在の関東では、観測史上でも異例の低水準が続いており、火災リスクは常時高い状態にあります。


■③ 飛び火が招く急激な延焼

近年の山火事では、火のついた塊が転がり落ち、別の場所で燃え広がる「飛び火」が確認されています。これは乾燥した落ち葉や枯れ枝が大量に堆積していることが原因で、初期消火が難しくなる要因です。


■④ 鎮火を困難にする「燻焼」という現象

大規模山火事が長期化する最大の理由が「燻焼」です。これは地中や落ち葉の下で、炎を上げずに高温のままくすぶり続ける状態を指します。表面上は鎮圧しているように見えても、地下で火種が残り、再燃する危険があります。


■⑤ 鎮圧と鎮火はまったく違う

延焼の恐れがなくなった状態が「鎮圧」、再燃の可能性が完全になくなった状態が「鎮火」です。近年の山火事では、鎮圧後も長期間にわたって調査と消火活動が続くケースが増えています。これは防災体制に大きな負担をかけます。


■⑥ 人為的要因が原因の大半を占める現実

国内の山火事原因の約99%は、たき火、火入れ、たばこなど人為的なものとされています。自然発火ではなく、「人の不注意」がほとんどであることは、防げる災害であることを意味します。


■⑦ 強化される林野火災規制

過去の大規模山火事を教訓に、乾燥と強風が重なる状況では「林野火災警報・注意報」が発令され、指定区域でのたき火や喫煙が禁止されます。違反者には罰金や拘留が科される可能性もあり、火の取り扱いに対する社会的責任が一段と重くなります。


■⑧ 私たちが今すぐできる防災行動

山火事は遠い山の問題ではありません。住宅地への延焼、交通遮断、停電など、都市生活にも大きな影響を及ぼします。乾燥時期には屋外で火を使わない、喫煙マナーを徹底する、地域の注意情報に敏感になることが、命と地域を守る第一歩です。


■まとめ|山火事は新しい「身近な災害」

日本の山火事は、もはや一過性の自然災害ではありません。気候変化と人為的要因が重なり、長期化・大規模化する新たな災害リスクとなっています。火を使う一人ひとりの行動が、防災の最前線にあるという認識を持つことが、これからの時代には不可欠です。

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