毎年のように豪雨で「車ごと流される事故」が発生しています。
多くの人が「自分の車なら大丈夫」「少しぐらいなら行ける」と思いますが、道路冠水はほんの数センチで命の危険につながります。ここでは、現場を知る防災士の視点から“冠水道路の本当の危険性”と“助かるための行動”を解説します。
■道路冠水が危険な理由
・10cmの冠水でハンドルが取られる
・30cmで車が浮き始める
・50cmでほぼ全車種が流される
・マンホールが外れ、穴に落ちることも
・側溝や川への転落リスク
・水圧でドアが開かない
・エンジンが浸水して停止する
“車は想像以上に浮く”のが最大のポイントです。
■水深の目安(必ず覚えておくべき数字)
・10cm → 危険ゾーン突入
・30cm → 車体が浮く
・50cm → 完全に流される
・70cm → 歩行者でも転倒
たった10cmから事故の危険が一気に高まります。
■絶対に行ってはいけない行動
・水の色を見て「浅いから大丈夫」と判断
・前の車が行けるからと続行
・スマホで撮影しながら突入
・Uターンできずに前進を続ける
・冠水したトンネルに進入
同じ行動で毎年の死亡事故が繰り返されています。
■助かる確率を上げる判断基準
・水が少しでも流れている → 進入禁止
・マンホールが見えない → 進入禁止
・道路が川のように流れている → 即避難
・膝までの水深 → 歩行でも危険
・暗い夜道で冠水 → 必ず引き返す
迷ったら「行かない」が命を守る最適解です。
■もし冠水に突入してしまったら
① エンジンが止まる前に停車
② ドアが開かない可能性があるため窓から脱出
③ 水位が上がる前に高い場所へ避難
④ 車は置いて逃げる(車より命)
⑤ 水が流れている方向へは近づかない
車にこだわると命を落とすケースが非常に多いです。
■子どもを乗せている時の注意点
・後部座席のドアが開かない可能性
・抱えて避難できる深さか判断が必要
・ベビーシートの固定が脱出の妨げになる場合も
・最優先は“車外へ出る判断の速さ”
家族を守るには「逃げる勇気」が必要です。
■道路冠水を避けるための日常備え
・スマホアプリで雨雲レーダー(要必須)
・通勤経路の“冠水しやすい場所”を把握
・大雨警報が出たら早めに帰宅
・冠水しやすい地下道は避ける
・夜間の運転は特に慎重に
事前の知識が“生存率”を大きく上げます。
■まとめ
道路冠水は「車なら大丈夫」という油断が命取りになる災害です。たった10cmで危険ゾーン、30cmで車が浮くという事実を知っていれば、無謀な突入を防げます。迷ったら絶対に進まない、冠水した道路には近づかない──この判断があなたと家族の命を守ります。

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