【防災士が解説】“災害時の車中泊”は快適ではない。知らないと危険なポイントと命を守る正しいやり方

地震・豪雨・停電で「自宅が使えない」「避難所が満員」などの理由から
“車中泊”を選ぶケースが増えています。しかし、車中泊には「快適」「安全」とは程遠いリスクが存在し、毎年命を落とす事故も起きています。避難所より安全そうに見えても、正しく対策しないと非常に危険です。ここでは、防災士の視点で“車中泊避難のリアル”を解説します。

■車中泊が危険な理由
・エコノミークラス症候群(血栓)
・車内の温度が急上昇・急低下
・換気不足
・トイレ問題
・睡眠が浅くなる
・防犯リスク
・周囲の安全が確認できない

“命に関わる危険”が潜んでいます。

■エコノミークラス症候群が起きるメカニズム
・同じ姿勢で長時間座る
・水分不足
・ストレス
・狭い車内で足が動かない
・血流が悪くなる → 血栓 → 肺へ飛ぶ

実際に災害後の死亡例として報告されています。

■車内の温度問題(夏)
・窓を閉めると短時間で40℃超え
・夜でも蒸し暑く眠れない
・結露で湿度が上がる
・子どもや高齢者は超危険

“避難中の熱中症”は車内が圧倒的に多いです。

■車内の温度問題(冬)
・足元から冷える
・窓からの冷気が強い
・暖房が使えない
・寝ている間に体温低下

冬の車中泊も命に関わる危険があります。

■車中泊で絶対にやってはいけない行動
・エンジンかけっぱなしで寝る
・車を水辺(河川敷・海沿い)に停める
・冠水しやすい道路に停車
・換気しない
・窓を完全に閉める
・アイドリングで暖房・冷房を続ける

一酸化炭素中毒は“静かに命を奪う危険”です。

■場所選びの基本
・河川敷・用水路付近は絶対に避ける
・斜面の下は避ける
・高台の駐車場が理想
・広くて安全が確認できる場所
・他の車が集まる場所がベスト

とにかく“水・崖・孤立”を避けること。

■寝る姿勢を確保する方法
・背もたれを倒す
・後部座席をフラット化
・クッションや毛布を活用
・足を伸ばせる空間をつくる
・30分に1回は軽く体勢を変える

これだけで血栓リスクを大幅に下げられます。

■車中泊のトイレ問題
・最もストレスが大きい部分
・近くにトイレがないと危険
・夜間の外出は防犯上リスク
・簡易トイレの準備が必須

“トイレをどうするか”が車中泊の生死を分けると言っても過言ではありません。

■防犯のポイント
・窓を少しだけ開ける
・サンシェードで外から見えなくする
・明るい場所に停める
・複数人で過ごすほうが安全
・ドアロックを忘れない

特に女性・子どもは細心の注意が必要です。

■車中泊で必要な持ち物
・寝袋
・毛布
・サンシェード
・モバイルバッテリー
・簡易トイレ
・飲み水
・タオル
・カイロ
・換気用の隙間ストッパー

車中泊は“避難所+アウトドア”の装備が必要。

■短期間なら“車中泊は有効”
・避難所が満員
・家の損壊が軽度
・周囲が安全
・家族に高齢者や赤ちゃんがいる
・1〜2泊程度なら現実的

ただし、正しい知識がない車中泊は危険です。

■まとめ
“車中泊避難”は、メリットもある一方、油断すると命に関わるリスクが多い避難方法です。エコノミークラス症候群・温度問題・換気・防犯・トイレの確保など、しっかり対策すれば短期間の避難に有効。もし選択するなら、正しい知識を備え、安全な場所と準備を徹底することが家族を守る唯一の方法です。

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