【防災士が解説】“災害時の運動不足”は命に関わる|避難生活で体が弱る「生活不活発病」の危険と対策

避難所や在宅避難が長引くと、多くの被災者が悩まされるのが“運動不足”。
実はこれ、単なる体力低下ではなく「生活不活発病」と呼ばれ、命に関わるケースもあります。特に高齢者は、数日〜1週間で急激に筋力が落ち、歩けなくなることも珍しくありません。防災士の視点から、避難生活で絶対に知っておくべき運動対策をまとめます。

■なぜ避難生活で体が弱るのか
・狭いスペースでずっと座りっぱなし
・布団や床の固さで体を痛める
・歩く距離が極端に減る
・筋力が急激に落ちる
・足の血流が悪くなる
・ストレスで体を動かす余裕がない

避難所は“健康を維持しにくい環境”なのが現実です。

■生活不活発病とは?
・急激な筋力低下
・関節の動きが悪くなる
・歩行能力の低下
・食欲減退
・認知機能の低下
・気分の落ち込み
・疲れやすくなる

特に高齢者は“数日で寝たきりに近くなる”こともあります。

■高齢者が危険な理由
・もともとの筋肉量が少ない
・座ったまま過ごす時間が長い
・睡眠リズムが崩れる
・トイレ移動が短距離
・運動のきっかけがない

支援を受ける立場の人ほど、運動不足が深刻化しやすい。

■避難所でできる簡単な運動
① つま先上下運動
② かかとの上げ下げ
③ 片足ずつの足伸ばし
④ 肩回し
⑤ ひざの曲げ伸ばし
⑥ ゆっくり深呼吸しながら腕を上げる

すべて「イスに座ったまま」でできる運動です。

■在宅避難の場合の運動
・部屋の中を歩く
・階段をゆっくり上り下り
・スクワット5回×数セット
・ラジオ体操をする
・ストレッチで体を伸ばす

負荷は小さくても、継続が一番効果的です。

■子どもの運動不足対策
・家の中でできる遊びを取り入れる
(縄跳びごっこ、かけっこ、体操など)
・とにかく身体を動かす時間をつくる
・ゲーム・スマホの時間を長くしすぎない
・親と一緒に動くと継続しやすい

子どもはストレス発散として運動が必要です。

■運動不足が引き起こす危険
・エコノミークラス症候群
・筋力低下
・転倒リスク増大
・便秘
・免疫力低下
・メンタル不調

“動かないことそのものが災害リスク”になります。

■避難生活での運動のコツ
・1時間に1回は立ち上がる
・座りっぱなしを避ける
・深呼吸を意識
・水分補給を忘れない
・高齢者には優しい運動から
・家族みんなで声を掛け合う

無理は不要。「ちょっと動く」だけで十分効果があります。

■備えておくと良いアイテム
・ヨガマット
・ストレッチポール
・室内用スニーカー
・ラジオ体操の動画
・軽めのゴムバンド

避難所・自宅で“場所を取らずに使える器具”が最強。

■まとめ
災害時の運動不足は、筋力低下・血流悪化・メンタル不調など、健康に大きな影響を与えます。しかし、椅子に座ったままの簡単な運動でも、数日〜数週間の避難生活を乗り切るには十分効果があります。“動ける身体”を維持することは、防災そのもの。体を動かすことが、家族の健康と命を守る行動になります。

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