地震・台風・長期停電・断水では、「服が洗えない」状態が数日〜1週間以上続きます。
汗・泥・ニオイ・子どもの汚れ──洗濯できないストレスは非常に大きく、衛生トラブルの原因にもなります。ここでは、防災士として現場で確実に役立った“災害時の洗濯対策”をまとめます。
■なぜ災害時は洗濯ができない?
・断水で水が使えない
・停電で洗濯機が動かない
・排水が逆流する危険
・干すスペースがない
・避難所には洗濯設備が基本ない
・服が乾かない(湿気・寒さ)
衛生管理の中心は“衣類のコントロール”。
■洗濯できない時の最優先対策
① 下着と靴下は“毎日交換”
② Tシャツは2~3日で交換
③ 濡れた服はすぐ脱ぐ
④ ニオイや汗はタオルで拭く
⑤ 速乾素材の衣類を活用
服を替えることが最大の衛生管理。
■水なしでできる“簡易洗濯”方法
① ウェットティッシュで汚れを拭く
→ 子ども・高齢者の服に最適
② 汗取り専用シートで内側だけ拭く
→ ニオイの原因を減らす
③ ベビーパウダーで消臭・吸湿
→ 汗を吸い、清潔感が戻る
④ アルコールスプレーで除菌
→ 衣類の軽い除菌に効果
“完璧に洗う”より、“汚れを取って清潔を維持”が大切。
■少量の水でできる手洗い洗濯
・バケツまたは袋に少量の水
・Tシャツ1枚は約1.5L〜2Lで洗える
・優しく押し洗い
・すすぎは最小限
・タオルに挟んで水分を吸わせると乾きが早い
意外と少ない水で“最低限の洗濯”は可能。
■乾燥が難しい時の工夫
・タオルでぎゅっと押し絞り
・扇風機を使わなくても“風通しの良い場所”へ
・カバンや布で隠さず、空気に触れさせる
・夜干しより日中の干し時間を長く
・レインコートやカッパをかけて湿気を防ぐ
乾かない服は“ニオイ菌”が繁殖しやすい。
■避難所の洗濯はどうする?
・基本は不可(設備なし)
・水が限られるため“手洗い”のみ
・干す場所の確保がむずかしい
・下着・靴下の交換が重要
・大きいもの(ズボン・パーカー)は後回し
避難所では、衣類管理は“最小限の工夫”が鉄則。
■子ども・高齢者の衣類対策
・汚れやすいため服のストック多め
・着替えスペースを確保
・濡れた服の放置を避ける
・清潔が保てるだけで機嫌や体調が安定
衣類が整うと避難生活のストレスが激減。
■災害時に備えておきたい“洗濯セット”
・バケツ
・洗濯ネット
・ロープ(物干し用)
・洗濯バサミ
・除菌スプレー
・ウェットティッシュ
・速乾Tシャツ
・下着の予備
家族全員分の衣類を2〜3日乗り切れるだけ備える。
■服が不足した時の応急処置
・タオルを体に巻く
・カッパを防寒着に
・寝具を服代わりに
・薄手の服を重ね着して保温
・ビニール袋で雨風を防ぐ
思った以上に“代用可能”。
■まとめ
災害時の洗濯問題は、単なる生活の不便ではなく、肌荒れ・ニオイ・感染症・疲労など“健康トラブル”に直結します。
水なし洗濯、少量の水での手洗い、乾きやすい服の選択──こうした小さな工夫だけで避難生活の質が大きく改善します。
下着と靴下を多めに備えておくことが、災害時の最大の衛生対策です。
洗濯の備えは、“生活の土台”を守る防災です。

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