梅雨・出水期の災害は、地震と違い「予測できる災害」です。それにもかかわらず、被害が繰り返される最大の原因は、防災訓練が“現実とズレている”ことにあります。出水期に本当に意味のある防災訓練とは何か、防災士としての現場経験から整理します。
■① 出水期災害は「準備できたはずの災害」
豪雨・洪水・土砂災害は、
・数日前から予報が出る
・警報や注意報が段階的に出る
・夜間や通勤時間帯に集中しやすい
という特徴があります。
つまり、防げた被害が非常に多い災害です。
■② 多くの防災訓練が形骸化している理由
現場で感じる課題は明確です。
・晴天の昼間に実施
・歩きやすいルートのみ使用
・全員が一斉に行動
・危険を伴わない想定
これでは出水期の現実に対応できません。
■③ 出水期訓練で最優先すべきは「判断訓練」
出水期の防災で最も重要なのは、
・いつ動くか
・動かない選択は正しいか
を判断する力です。
避難所へ行く訓練よりも、判断基準を共有する訓練が重要です。
■④ 実践的な出水期防災訓練の内容
本当に意味のある訓練は、
・雨量や警報を想定した判断訓練
・夜間・在宅・仕事中を想定
・家族が別々の場所にいる前提
・車を使わない選択肢の検討
です。
体を動かさなくても、机上訓練で十分効果があります。
■⑤ 訓練で必ず確認すべき「危険ポイント」
出水期前に確認すべきは、
・アンダーパス
・用水路
・川沿い道路
・低地の交差点
訓練で一度確認しておくだけで、当日の判断速度が変わります。
■⑥ 在宅避難を前提にした訓練も必要
出水期は全員が避難所へ行く想定は現実的ではありません。
・自宅2階での生活
・停電時のトイレ対応
・情報取得手段
これを訓練で一度確認するだけで安心感が違います。
■⑦ 防災訓練は「成功体験」を作る場
訓練は恐怖を与えるものではなく、
・判断できた
・家族と共有できた
という成功体験を作る場です。
成功体験がある人ほど、実災害で冷静に動けます。
■⑧ 出水期前に家庭でできる簡易訓練
家庭で今すぐできる訓練は、
・ハザードマップ確認
・避難/在宅の分岐点を決める
・連絡手段の確認
これだけでも十分な防災訓練になります。
■まとめ|出水期防災訓練は「動く訓練」ではない
出水期の防災訓練は、避難行動そのものより判断力を鍛えることが目的です。
結論:
出水期の防災は、事前に考えた人から助かる。
防災士として被災地を見てきましたが、助かった人は例外なく「梅雨前に考えていた人」でした。

コメント