災害発生後、多くの避難所で課題となるのが「授乳室」。
・スペースがない
・仕切りがない
・寒い
・夜間は危険
・人目が気になる
──授乳中の母子にとって、避難所環境は厳しいのが現実です。
ここでは、防災士として現場で本当に必要だと感じた“授乳室対策”をまとめます。
■なぜ授乳室が避難所で必須なのか?
・授乳はプライバシーが必要
・赤ちゃんが環境変化に敏感
・母親のストレスで母乳量が減る
・周囲の視線で授乳をしづらい
・深夜の授乳は安全確保が必須
“授乳のしやすさ=赤ちゃんの健康”に直結します。
■避難所で起こる授乳トラブル
・授乳スペースがない
・カーテンや仕切りが薄く丸見え
・寒さ・暑さで授乳できない
・照明が暗い or 明るすぎる
・男性が多い空間で落ち着かない
・授乳タイミングが他人に丸わかり
・夜中の移動が危険
授乳環境は“避難生活の質”を左右します。
■すぐにできる“授乳室づくり”
避難所に専用の部屋がなくても、工夫次第で作れます。
① パーテーション・段ボールで仕切る
・体育館の一角を仕切るだけで安心感が急上昇
② 毛布・布で簡易カーテン
・視線を遮り、温度調整の効果も
③ 折り畳みテント(プライベートテント)
・最も安心できる
・女性専用スペースとしても活用可能
④ 女性・子育て世帯専用エリアをつくる
・赤ちゃんの泣き声を気にしない環境
・夜間の移動も短く安全
⑤ 夜間は小型ライトを準備
・暗闇移動は危険
・赤ちゃんを起こさない柔らかい光が理想
■授乳室に必要な環境
・暖かい(または涼しい)環境
・最低限の明かり
・マット・毛布(座れる場所)
・授乳ケープを広げられるスペース
・ビニール袋(哺乳瓶やゴミ管理)
・水・ポケットティッシュ
特別な設備はなくても“安心感”が優先されます。
■避難所運営側が気をつけるべき点
・男性立入禁止の明示
・授乳中の母子を最優先に案内
・換気と温度管理
・夜間に危険がない配置にする
・物資で哺乳瓶・ミルクを優先提供
・泣き声で気を使わせない空間づくり
授乳は「プライバシー + 安全 + 温度」の3点セット。
■授乳に必要な物資が不足した時の対応
・哺乳瓶の代わりに“使い捨て哺乳袋”
・粉ミルクはスティックタイプ
・液体ミルクがあれば最優先
・授乳ケープはタオルで代用
・ビニール袋で衛生管理
特に液体ミルクは避難生活で最強のアイテム。
■母親のメンタルケアも重要
・授乳がしづらいと母乳量が減る
・ストレスで授乳トラブルが増える
・周囲の視線・騒音は大敵
・授乳室があるだけで安心度が大幅に上がる
“母親の安心=赤ちゃんの安心”。
■災害時に備えておく授乳セット
・授乳ケープ
・液体ミルク
・スティック粉ミルク
・使い捨て哺乳袋
・ティッシュ・ガーゼ
・ペットボトルの水
・保温タオル
・ビニール袋
1つのポーチにまとめておくと避難時に即対応。
■どうしても授乳室が確保できない場合
・車内授乳(短時間のみ)
・避難所の隅でケープ使用
・女性専用トイレ(清潔を要確認)
・体育館裏の静かな場所
※安全が確保できない時は“車 + 家族同行”を推奨
完全ではなくても“最も安全で落ち着く場所”を探すことが重要。
■まとめ
避難所の授乳室問題は、乳幼児と母親にとって最重要課題です。
専用の部屋がなくても、パーテーション・テント・毛布で“プライバシー確保”は十分に可能です。
授乳室が整うことで、赤ちゃんの健康、母親の安心、避難所の雰囲気全体が大きく改善します。
授乳室は、避難所運営の“最優先事項”のひとつです。

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