災害が発生すると、必ず聞こえてくる言葉があります。
「なぜ自衛隊はまだ来ないのか?」
しかし、自衛隊は“要請があれば即出動できる万能組織”ではありません。
実は、災害派遣には明確なルールがあり、その根幹となるのが「三要素」です。
この仕組みを知ることは、行政を責めるためではなく、正しく備えるためのデジタル防災・防災リテラシーの一部だと私は考えています。
■① 自衛隊派遣は「知事要請」が原則
自衛隊の災害派遣は、原則として都道府県知事が要請します。
市町村長が直接要請することはできず、まずは自治体内で被害状況を集約し、県が判断します。
この時点で、すでに行政は混乱の中で情報整理を行っています。
■② 派遣要請に必要な「三要素」とは
自衛隊が災害派遣されるためには、次の三つの条件がそろう必要があります。
これを「災害派遣の三要素」と呼びます。
一つでも欠けると、原則として派遣要請はできません。
■③ 公共性|みんなの命と生活を守るか
公共性とは、その活動が個人のためではなく、社会全体の利益になるかという視点です。
人命救助、避難支援、給水、物資輸送、道路啓開などが該当します。
一方、特定の個人宅のみの復旧作業などは公共性が低いと判断されます。
■④ 緊急性|今すぐ対応しなければ被害が拡大するか
緊急性とは、時間を置けば取り返しがつかなくなる状況かどうかです。
生き埋め、孤立、断水による生命危機、二次災害の恐れなどが代表例です。
緊急性が低い場合は、民間や自治体対応が優先されます。
■⑤ 非代替性|自衛隊でなければ対応できないか
非代替性とは、その任務が自衛隊でなければ不可能かという判断です。
ヘリによる救助、広域給水、大規模重機作業、長期・広範囲支援などは自衛隊の強みです。
逆に、ボランティアや民間業者で代替可能な内容は該当しません。
■⑥ なぜ「すぐ来ない」と感じるのか
被災直後、現場は情報が錯綜しています。
行政も被災者であり、職員自身が被災していることも珍しくありません。
その中で三要素を確認し、全国の災害対応と部隊配置を調整しています。
これは「遅れている」のではなく、「慎重に判断している」のが現実です。
■⑦ 防災士として現場で感じたこと
被災地では、自衛隊が到着した瞬間に空気が変わります。
安心感、秩序、希望。
しかし同時に感じるのは、「来るまで生き延びる準備」の重要性です。
自衛隊は最後の切り札であり、最初の72時間は自助と共助が命を分けます。
■⑧ 私たちが今できる備え
自衛隊派遣の仕組みを理解した上で、個人ができることは明確です。
・最低3日分、できれば7日分の備蓄
・在宅避難を想定した準備
・地域との顔の見える関係づくり
・正しい情報を待つ冷静さ
「自衛隊が来るまで生き延びる力」こそが、最大の防災です。
■まとめ|自衛隊は「最後の切り札」
自衛隊災害派遣には、
公共性・緊急性・非代替性という三要素があります。
これは命を軽視するための壁ではなく、最も効果的に命を救うための仕組みです。
結論:
自衛隊が来る前に生き延びる準備をしている人ほど、救われる可能性が高い。
防災士として多くの被災地を見てきましたが、
本当に命を守ったのは「理解」と「備え」でした。

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