避難所は、多くの人が同じ空間で生活するため「感染症が一気に拡大しやすい環境」です。
風邪・インフルエンザ・胃腸炎・ノロウイルス・アレルギー──わずかな対策の差で、避難生活の安全性は大きく変わります。
ここでは、防災士として現場で最も重視している“避難所の感染症対策”をまとめます。
■なぜ避難所は感染が広がりやすい?
・多人数が密集して生活
・空気が乾燥しやすい
・換気が不十分
・トイレ・洗面所が混雑
・手洗いが難しく衛生管理が低下
・夜間の温度管理が不安定
・疲労・ストレスで免疫低下
避難所は「病気が広がる条件」がそろっています。
■避難所で注意すべき感染症
・インフルエンザ
・風邪・発熱
・ノロウイルス
・胃腸炎
・咳・喉の感染症
・新型コロナ
・アレルギー症状(ホコリ・花粉・カビ)
特にノロウイルスは拡大が早く、トイレを中心に“一気に集団感染”することがあります。
■感染症を防ぐための基本行動
① マスクの着用
→ 咳・くしゃみの飛沫を防ぐ最強の対策
② 手洗い or ウェットティッシュ
→ 石けんがなくても「こまめに拭く」だけで効果あり
③ トイレ後の手指消毒
→ 便を介して感染するノロ対策に必須
④ 換気(1時間に数分でOK)
→ 冬でも換気は重要
⑤ 食べ物を共有しない
→ 菓子・飲み物の回し飲みはNG
⑥ 布団を近づけすぎない
→ 1〜1.5mの距離が理想
小さな行動の積み重ねが感染を止めます。
■避難所で特に重要な“3つのゾーン管理”
① 生活エリア
→ できるだけ布団を密集させない
→ 会話や食事は正面を避ける
② 食事エリア
→ 消毒を置く
→ 共有物(コップ・箸・皿)を減らす
③ トイレエリア
→ ノロウイルス拡大の中心
→ 清掃の頻度を増やす
→ 子どもは大人がフォロー
ゾーンを意識するだけで感染率が大幅に低下します。
■避難所で実際に起きやすい感染トラブル
・子ども同士の感染スピードが速い
・トイレで消毒が切れる
・マスク不足で咳が広がる
・夜間の咳が全体に響く
・布団が密集しているため拡大しやすい
・嘔吐物の処理が遅れてノロが拡大
感染は“最初の1〜2例の対応”で決まります。
■嘔吐物(ノロウイルス)の最重要対応
① 触れない
② 離れる
③ 漂白剤(次亜塩素酸)で処理
④ 手袋・マスク
⑤ ゴミ袋は二重
誤った処理が“二次感染”を生む最大原因。
■子ども・高齢者の感染症対策
・こまめに手を拭く
・水分をしっかり摂る
・咳がある場合はマスク徹底
・布団の距離を保つ
・夜間は暖かくする
免疫が弱い層を守ることが感染対策の中心。
■避難所で準備しておくべき感染対策セット
・マスク(家族人数 × 数日分)
・ウェットティッシュ
・アルコール消毒液
・使い捨て手袋
・ゴミ袋
・小型加湿器 or 濡れタオル
・ポケットティッシュ
・常備薬
・体温計
軽量ですべて“持ち出し袋に入れられる”もの。
■避難所の運営側がやるべきこと
・換気の時間を決める
・トイレ清掃の頻度を上げる
・咳エチケットの掲示をする
・発熱者の隔離スペースを用意
・消毒の補充を切らさない
・密集しない寝床配置にする
小さな工夫で感染拡大は大きく防げます。
■まとめ
避難所の感染症対策は、集団生活の中で最も重要な課題です。
マスク・手洗い・換気・トイレ対策・距離の確保──基本の積み重ねだけで感染リスクは大幅に下げられます。
家庭でも、避難所でも、感染対策用品を備えておくことで、災害時の不安と健康トラブルを確実に減らすことができます。
感染症対策は“避難生活を守る基盤”です。

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