避難所で必ず起きる課題のひとつが「プライバシーの欠如」。
・他人の視線
・物音
・寝顔
・着替え
・家族状況
──すべてが“丸見え・丸聞こえ”になり、精神的ストレスやトラブルの原因になります。
ここでは、防災士として現場で何度も経験してきた“避難所のプライバシー問題”とその対策をまとめます。
■なぜ避難所はプライバシーが守られない?
・体育館など大空間で集団生活
・仕切りが不足
・家族構成が周囲に丸見え
・夜間に物音が響く
・寝顔や持ち物が他人から見える
・着替えスペースがない
・女性・子どもが不安を抱えやすい
“プライバシーがゼロ”という環境が問題を生みます。
■プライバシー喪失による具体的な問題
・ストレス増加
・不眠・疲労
・夫婦・家族間トラブル
・女性や子どもの不安
・盗難や紛失が増える
・家庭事情が周囲に知られる
・支援を受けづらくなる
精神的負荷が大きく、長期化すると大きなダメージに。
■避難所で最も多い“プライバシー困りごと”
① 睡眠時の視線
② 着替えの場所がない
③ 赤ちゃんの授乳が見られる
④ 会話がすべて聞こえる
⑤ 夜間、他人がすぐ横を歩く
特に女性・子ども・高齢者が精神的負担を感じます。
■すぐできるプライバシー確保法(現場で最も効果的)
① スペースをレジャーシートで囲う
→ 最も手軽で効果が大きい
② 毛布・タオルで仕切りを作る
→ 上からの視線も遮れる
③ 段ボール間仕切り
→ 音も軽減・視界も遮断
④ プライベートテント
→ 完全個室に近い
→ 家族1組に1つあると安心度が別次元
⑤ 座席の方向を調整
→ 視線が交差しない工夫
“少し視線を遮るだけ”で安心感が大きく変わります。
■女性・子どもに必要な追加対策
・女性専用エリアの確保
・授乳・オムツ替えスペースの仕切り
・夜間移動時の同伴
・周囲に男性が多い場合は配置を調整
・子どもの寝場所と荷物を近くに置く
避難所運営で最優先すべき視点。
■高齢者のプライバシー保護
・着替えの補助が必要な場合もある
・介護が周囲に見られやすい
・ベッドや段ボールベッドで仕切る
・トイレへの動線を安全に
“介護される姿を見られたくない”と感じる高齢者は多い。
■夜間のプライバシー問題と解決策
・明かりが少ないと不安
・逆に明るすぎると眠れない
・人の動きが気になる
→ 小型ライト
→ パーテーション
→ 寝場所を壁寄りに配置
夜間は“静かで安心できる場所選び”が重要。
■盗難・紛失を防ぐための工夫
・貴重品は枕元に
・バッグは身体側に置く
・大事なものはポーチで肌身離さず
・仕切り内に荷物をまとめる
プライバシー確保は“防犯対策”にもつながる。
■避難所で備えておくべきプライバシー用品
・レジャーシート
・毛布・バスタオル
・プライバシーテント
・段ボール間仕切り
・小型ライト
・洗濯ばさみ(タオル固定用)
・耳栓・アイマスク
すべて軽量で、持ち出し袋に入れられます。
■避難所運営側がやるべきこと
・女性・高齢者・子ども優先スペースを作る
・授乳室・更衣スペースの設置
・可能な範囲で仕切りを配布
・家族単位のスペース分け
・間隔を空けた寝床配置
・防犯パトロールの巡回
“人の視線”が最もストレスになることを理解すること。
■まとめ
避難所のプライバシー問題は、精神的ストレス・不眠・不安・家族トラブルなど、多くの影響を引き起こします。
しかし、レジャーシートや毛布で仕切るだけでも安心感は劇的に向上します。
女性・子ども・高齢者のプライバシーを優先することで、避難所全体の雰囲気も安定し、安心して過ごせる環境になります。
プライバシーの確保は、“心の安全”を守る防災です。

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