避難所で必ず問題になるのが「トイレの臭い」。
断水・停電・清掃不足・使用過多──これらが重なることで、
・悪臭で避難所全体が不快になる
・食欲低下
・子どもがトイレを嫌がる
・感染症(ノロ・胃腸炎)のリスク上昇
といった深刻なトラブルに発展します。
ここでは、防災士として現場でよく相談される“トイレの臭い問題”の原因と改善策をまとめます。
■なぜ避難所のトイレはこんなに臭くなる?
・断水で“流せない”時間が長い
・使用人数が多い
・便の処理が追いつかない
・換気が悪い
・気温が高いと臭いが倍増
・子どもや高齢者が便座を汚しやすい
・清掃人員が不足
避難所では“臭い対策が間に合わない”のが現実。
■臭いが放置されると起きる問題
・吐き気・頭痛
・食欲低下
・子どもがトイレに行かず我慢してしまう
・脱水症状(トイレを避けて水分を控える)
・ノロウイルスの感染拡大
・避難所全体のストレス増
臭い問題は“健康トラブル”に直結します。
■すぐできる臭い対策(個人レベル)
① 携帯トイレを併用する
→ トイレ使用回数を減らせる
→ 臭いの発生源を大幅に減少
② 消臭袋に入れる
→ 排泄物の臭い漏れを防ぐ
③ マスクにハッカ油・アロマ
→ トイレに行く時の苦痛を軽減
④ トイレ最寄りの位置を避けて寝る
→ 臭いのストレスを減らすため配置が重要
■避難所運営が行うべき“臭い対策”
① こまめな清掃(1〜3時間おき)
→ 汚れが放置されると臭いが急激に悪化
② 便袋の早めの回収
→ 特に簡易トイレでは最重要
③ 換気扇+扇風機で強制換気
→ 空気を停滞させない
④ 消臭剤・次亜塩素酸スプレー
→ 衛生と臭い対策を同時に実施
⑤ トイレ付近の床掃除
→ 尿が床にこぼれると臭いの原因に
臭いは“清掃+換気”で大きく改善します。
■トイレの構造によって異なる対処法
【水洗トイレ】
・断水時は絶対に流さない
・バケツで流す場合は1回につき2〜4L
【簡易トイレ】
・凝固剤は必ず使用
・袋は二重にする
・使用後はすぐ密閉
【仮設トイレ】
・扉を開けた瞬間が最も臭う
・足元は汚れやすいので注意
仕組みごとに“ベストの対策”が異なります。
■女性・子ども・高齢者が特に困る理由
・においで吐き気を感じやすい
・トイレでの時間が長くなり臭気を強く受ける
・子どもはトイレを嫌がると“我慢してしまう”
・高齢者は頻回トイレが必要
→ 家族分の携帯トイレが“ほぼ必須”。
■臭いが強い時の応急処置
・タオルを口鼻に当てる
・トイレの扉を開けて換気
・消臭スプレー
・入口付近に重曹や新聞紙を置く
・便座の汚れをすぐ拭く
小さな行動で臭いの拡散を抑えられます。
■災害前に備えておく臭い対策セット
・携帯トイレ(1人3〜5回分/日)
・消臭袋
・凝固剤
・使い捨て手袋
・ウェットティッシュ
・次亜塩素酸スプレー
・小型扇風機(避難所用)
・マスク
・新聞紙
すべて軽量、持ち運び可能。
■まとめ
避難所のトイレ臭は単なる“不快”ではなく、
・健康被害
・精神的ストレス
・感染リスク
・トイレ我慢による脱水
──といった重大な問題につながります。
携帯トイレ・換気・密閉・消臭といった基本対策を組み合わせることで、
トイレの臭いは大幅に改善でき、避難生活の快適さがぐっと上がります。
トイレの臭い管理は、避難所運営の“生命線”です。

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