避難所では、高齢者の転倒事故が最も多いトラブルの一つです。
体育館の構造・暗さ・雑多な荷物・長い動線が重なり、
普段は転倒しない人でも簡単にバランスを崩してしまいます。
ここでは、防災士としての現場経験から、
「避難所で高齢者を転倒から守る具体策」をまとめます。
■ なぜ避難所で高齢者が転倒しやすいのか?
● 体育館が広くて距離が長い
● 夜間が非常に暗い
● トイレまでの通路がわかりにくい
● 床が滑りやすい
● 荷物が散乱して足元が不安定
● 段差が多い(入口・廊下・トイレ前)
● 高齢者は靴の脱ぎ履きが大変
避難所は“転倒のリスクが重なる設計”になっています。
■ 転倒が引き起こす重大リスク
● 骨折(特に大腿骨)が多い
● 入院・手術が必要になる
● その後の生活機能が低下
● 避難生活の継続が困難になる
● 介護負担が急増
● 災害関連死につながることも
高齢者の転倒は、避難所にとって最大級のリスクです。
■ 高齢者の転倒を防ぐ“初動の3つ”
① 家族スペースは“通路から離れた場所”にする
→ 通行量が多い場所は危険&ぶつかりやすい。
② 入口・トイレ前の段差を最初に確認
→ 避難所で最も転倒が起きやすいポイント。
③ 夜間の動線をライトで確保
→ LEDランタン・ライト・テープライトなどで照明ラインを作る。
■ 高齢者に必須の“転倒防止アイテム”
● 滑りにくい靴下
● 室内用スリッパ(底が強いタイプ)
● 軽量杖(折りたたみ可)
● LEDライト(小型でOK)
● 小物を入れるポーチ(手が塞がると危険)
避難所では“手ぶらで動ける”ことが安全につながります。
■ トイレ動線の工夫(最重要)
● 夜間は必ずライト設置
● 通路の荷物を避けて整理
● トイレ入口の段差に注意喚起テープ
● 手すりがあれば優先利用
● 混雑時は同行者が付き添う
トイレは“転倒事故の発生率No.1”です。
■ 床の滑りやすさを改善する方法
● マット・タオルを敷く
● 体育館のワックス剥離面には注意
● こぼれた水(雨・ペットボトル)をすぐ拭く
● 土足の砂で転ぶケースが多いため、玄関管理を強化
床が乾いているだけで事故率は大幅に下がります。
■ 避難所スタッフができる取り組み
● 段差の目立つ場所にテープ貼り
● 夜間巡回で危険箇所を点灯
● 物資を通路に置かないルール化
● 高齢者・支援が必要な人を“中央区画”へ誘導
● ベッドを必要な人に優先配布
高齢者へのケアが整うと、避難所全体の安全性が上がります。
■ 家庭でできる備え(在宅避難)
● 夜間足元ライト
● トイレまでの動線の確保
● 滑り止めマット
● 断水時のトイレ環境確保
● 段差を塞ぐ養生テープ・スポンジ
自宅も“災害時は転倒しやすくなる”ので要注意です。
■ まとめ
避難所で高齢者が転倒すると、
骨折・入院・介護負担増など“生活が一変”します。
しかし、
場所選び × 夜間照明 × 動線整理
この3つで転倒事故の80%は防げます。
避難初日にできる工夫が、高齢者の命と生活を守ります。

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