自律型避難は精神論や住民の善意だけでは定着しません。現場で本当に機能させるには、自治体が「予算」という形で明確に後押しすることが不可欠です。防災の現場を見てきた立場として、自律型避難は高額な投資ではなく、予算配分の考え方を変えるだけで実現できると感じています。
■① 自律型避難は「新規大型事業」ではない
自律型避難の推進に、巨額の新規予算は不要です。既存の防災予算・訓練予算・啓発予算を「配る防災」から「使える防災」へ振り替えるだけで効果が出ます。
■② 優先すべきは「住民が使える物」への支出
完成品の大量備蓄よりも、住民が自分で使いこなせる物への投資が重要です。
・簡易間仕切り
・ダンボールベッド作成用資材
・ワンタッチテント
これらは少額でも避難所環境を大きく改善します。
■③ 「作る訓練」への予算配分が鍵
防災訓練費を、物資展示型から体験型へ転換します。
ダンボールベッド作成、代用品づくり、空間づくりなど、実際に手を動かす訓練に予算を使うことで、自律型避難は定着します。
■④ 世帯向け備え支援は費用対効果が高い
一家に一張テント、簡易寝具の推奨など、家庭単位の備えを補助・推進することは、避難所負担を大きく減らします。結果として自治体全体の支出抑制にもつながります。
■⑤ 備蓄倉庫の考え方を変える
完成品を大量に保管するより、「作れる資材」を備蓄する方が柔軟です。
ダンボール、結束材、テープなどは用途が広く、無駄になりにくい投資です。
■⑥ 広報・啓発費は「行動につながる形」で使う
パンフレット配布だけでは行動は変わりません。
動画、体験会、実演イベントなど、住民が「自分でもできる」と実感できる広報に予算を使うことが重要です。
■⑦ 職員研修への投資が現場を変える
避難所運営に関わる職員が自律型避難を理解していなければ、現場でブレーキがかかります。
職員研修への予算投入は、住民の行動を後押しする土台になります。
■⑧ 小さな予算が大きな差を生む
自律型避難は、数百万円単位の工夫で、数千人規模の避難所環境を変えられます。費用対効果の高い防災投資です。
■まとめ|予算は「待つ防災」から「動く防災」へ
自律型避難は、住民任せでも精神論でもありません。
結論:
予算の使い方を変えることが、自律型避難を現実にする
防災士として、わずかな資材と知識で避難所が大きく改善された現場を何度も見てきました。
自治体が予算で自律型避難を後押しすれば、住民は確実に動けます。お金の問題ではなく、考え方の問題です。

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