「命を守るために避難してください」
これは正しい呼びかけです。
しかし、あえて考えてみてください。
もし本当に“全員”が一斉に避難したら、どうなるでしょうか。
そこに、防災の大きな矛盾が隠れています。
■① 避難所は「全員分」用意されていない
結論から言います。
避難所は、住民全員が入る前提では作られていません。
多くの自治体では、
・人口の2〜3割程度
・最大でも5割程度
を想定して、避難所の面積や物資量を計算しています。
つまり、
全員が避難すると確実に足りません。
■② 避難所が抱える3つの現実的問題
全員が避難した場合、すぐに次の問題が発生します。
・スペース不足
1人あたりのスペースはさらに狭くなり、
横になることすら難しくなります。
・物資不足
水・食料・毛布・トイレ用品は、
数時間〜1日で枯渇します。
・人の管理が崩壊
誰が来て、誰がいないのか。
要配慮者はどこにいるのか。
把握できなくなります。
■③ 避難所は「万能な安全地帯」ではない
多くの人が誤解しています。
避難所=安全
ではありません。
避難所には、
・寒さ
・感染症
・騒音
・プライバシー不足
・ストレス
といった二次被害のリスクがあります。
特に高齢者や子ども、持病のある人ほど影響を受けます。
■④ 「とりあえず避難」が生む新たな被害
全員が一斉に避難すると、
本来避難が必要な人が困ります。
・本当に危険な地域の人
・歩行困難な人
・医療的ケアが必要な人
こうした人ほど、
混雑した避難所で支援が届きにくくなります。
■⑤ 行政が本当は悩んでいること
行政は表では言いませんが、
実はこう考えています。
「全員に来られると、回らない」
しかし、
「来ないでください」とは言えない。
このジレンマが、
避難情報を曖昧にしている一因です。
■⑥ 解決策は「分散避難」
そこで重要になるのが、
分散避難という考え方です。
・自宅が安全なら在宅避難
・親戚・知人宅への避難
・車中泊(条件付き)
・地域内の小さな拠点
避難=避難所、ではありません。
■⑦ 自律型避難が避難所を守る
自律型避難とは、
「自分で考えて、最適な避難先を選ぶこと」。
これが広がると、
・避難所の混雑が減る
・本当に必要な人に支援が届く
・行政の負担が減る
結果的に、
全体の安全性が上がります。
■⑧ 避難所は「最後の砦」
避難所は、
誰でも来ていい場所ですが、
全員が来る前提の場所ではありません。
本当に困った人が、
確実に守られる場所。
それが避難所の役割です。
■まとめ|「全員避難」は理想か、現実か
「全員避難」は、
理想としては正しい。
しかし現実には、
避難所の限界を超えます。
だからこそ必要なのは、
・考える避難
・選ぶ避難
・支え合う避難
一人ひとりの判断が、
避難所を守り、
命を守ることにつながります。
これからの防災は、
避難所に行く力ではなく、避難を選ぶ力が問われています。

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