災害のたびに報じられる「高齢者の逃げ遅れ」。
これは個人の問題ではなく、社会全体が抱える構造的な課題です。
高齢者避難の現実を、現場視点で整理します。
■① 高齢者避難は「判断」より前につまずく
高齢者避難で最初につまずくのは、移動ではありません。
判断です。
・自分はまだ大丈夫
・昔も何とかなった
・周囲が動いていない
この「様子見」が、致命的な遅れにつながります。
■② 情報が届いても「行動」に変わらない
避難情報は出ています。
しかし高齢者ほど、
・情報の意味が分からない
・レベルの違いが分からない
・自分事と感じにくい
結果、行動に結びつかないのが実情です。
■③ 身体的制約が避難を現実的に困難にする
高齢者避難の現場では、
・歩行が遅い
・段差や坂がつらい
・夜間・雨天は特に危険
「避難したくてもできない」状況が多く存在します。
■④ 家族・地域の関与が前提になっている
高齢者避難は、本人だけでは完結しません。
・家族の声かけ
・近所の支援
・地域の見守り
これらが欠けると、避難は成立しません。
しかし現実には、
・共働き
・核家族化
・地域コミュニティの希薄化
支援の前提が崩れています。
■⑤ 避難所生活が「二次被害」になる不安
高齢者が避難をためらう理由の一つが、
・トイレ問題
・寒さ・暑さ
・騒音・プライバシー
「避難所で体調を崩すくらいなら…」
という心理が働きます。
■⑥ 行政支援には限界がある
行政は名簿を作り、計画を立てています。
しかし、
・人手不足
・全員対応は不可能
・発災直後は混乱
最終的に守れるかどうかは、地域と家族次第です。
■⑦ 解決の鍵は「自律型避難の支援化」
高齢者に自律を求めるのではありません。
・周囲が判断を補う
・早めに動かす
・避難以外の選択肢も用意する
支え合う自律型避難が必要です。
■まとめ|高齢者避難は「仕組み」で守る
高齢者の逃げ遅れは、
注意喚起だけでは減りません。
必要なのは、
・分かりやすい判断基準
・早めの声かけ
・避難以外の安全確保策
結論:
高齢者避難は個人任せにしてはいけない。
防災士として、現場で何度も痛感してきた課題です。

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