【防災士が解説】防災×数字の落とし穴|数字は示しやすいが、本当に守るべきものは何か?

防災の世界では、よくこんな表現が使われます。

・死者〇人
・被害額〇兆円
・被災率〇%減

数字は分かりやすく、説明もしやすい。
しかし――
数字だけを見て防災を語ることに、限界が来ています。


■① なぜ防災は数字で語られやすいのか

数字は、行政にとって非常に便利です。

・比較できる
・成果を示しやすい
・予算説明に使いやすい

「昨年度より死者数が減った」
それだけで「対策が進んだ」と評価されてしまう。

しかし、それは防災の一部でしかありません。


■② 数字に表れない被害が一番深刻

数字に出てこないものがあります。

・避難所でのストレス
・体調悪化
・介護疲れ
・心の傷
・生活再建の遅れ

これらは統計に残りにくく、
政策評価からも漏れやすい。

現場では、
「助かったけど、つらい」
という声が最も多く聞かれます。


■③ 災害関連死は数字の隙間に落ちる

災害関連死は、
「地震や津波で直接亡くなった人」ではありません。

・避難生活による体力低下
・持病の悪化
・医療・介護の中断

初動では助かっているのに、
その後に命を落とす。

これは、
数字重視の防災が見落としてきた現実です。


■④ 「減った」という数字が現場を苦しめることもある

「被害は前年より減少」

この言葉は、
被災者にとっては残酷なこともあります。

・自分は今も困っている
・生活は戻っていない
・支援は打ち切られた

数字上の「改善」が、
現場の支援縮小につながるケースもあります。


■⑤ 防災の評価軸を変える時期

これから必要なのは、

・どれだけ助かったか
ではなく
・どれだけ普通の生活に戻れたか

という視点です。

・避難所生活は短かったか
・災害関連死は防げたか
・自立した生活再建ができたか

ここに目を向ける必要があります。


■⑥ 自律型避難が数字の欠点を補う

自律型避難は、
数字に表れにくい被害を減らします。

・無理な避難をしない
・避難所に集中しない
・自分に合った避難先を選ぶ

結果として、

・体調悪化を防ぐ
・関連死を減らす
・尊厳を守る

という効果が生まれます。


■⑦ 防災は「人」を見るもの

防災は本来、

・一人ひとり
・家族単位
・生活単位

で考えるものです。

数字は全体像を示しますが、
人の苦しみは平均値では測れません。


■まとめ|数字は道具、目的ではない

数字は重要です。
否定するものではありません。

しかし、
数字は防災の目的ではなく、手段です。

防災の本当の目的は、

・命を守る
・生活を守る
・尊厳を守る

数字の裏にある現実に目を向けること。

それが、
これからの防災に求められています。

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