大雨や台風、線状降水帯などにより毎年繰り返される水害。
浸水、冠水、河川氾濫、内水氾濫、土砂災害が同時に発生することもあり、逃げ遅れが命を脅かします。ここでは、水害から命を守るための“基礎知識”をわかりやすく解説します。
■ 水害は「外水氾濫」と「内水氾濫」でまったく違う
● 外水氾濫(川が溢れる)
・河川の水が堤防を越えて流れ込む
・堤防が決壊すると一気に流れ込む
・流れが速い・深い・破壊力が大きい
→ 最も危険で逃げ遅れが命取り
● 内水氾濫(街の排水が追いつかない)
・道路冠水
・住宅・店舗が徐々に浸水
・側溝・マンホールが溢れる
→ 雨が続くと“気づかぬうちに浸水”が起こる
どちらも危険ですが、外水氾濫は一瞬で状況が変わります。
■ 水害の危険度を高める“要注意スポット”
● 川沿い・堤防近く
● 低地(昔の川・湿地だった場所)
● アンダーパス(地下道)
● 用水路沿い
● マンホールの多い道路
● 住宅地の最下層部
● 橋の付近(流木で詰まりやすい)
水害は地形で結果が決まるため、住んでいる場所の地形把握が必須です。
■ 水害の前に必ず知るべき雨の危険度
● 線状降水帯
→ 同じ場所に強い雨が数時間続き、川が急激に増水する
● 記録的短時間大雨
→ 内水氾濫と道路冠水が一気に起きる
● 台風接近
→ 広範囲で強風・豪雨、河川が長時間増水
雨の“強さ”ではなく「続く時間」が危険度を決めます。
■ 水害の前兆を見逃さない
● 川の色が濁る
● 流木が増える
● 水位が急に早く上がる
● 雨が弱まっても川が下がらない
● 側溝から水が吹き上がる
● マンホールの蓋が浮く
● 道路の冠水が広がる
1つでも当てはまれば危険サイン。
■ 水害で“絶対にやってはいけない行動”
● 冠水道路に入る
● 車で突破しようとする
● 川を見に行く
● 橋の上から撮影する
● 自転車で様子見をする
● 水位が足首だからと油断する
深さ30cmで車は動かなくなり、
深さ50cmで大人でも流されます。
■ 水害の避難行動のポイント
● 高齢者・子どもは 早めの避難
● 夜の避難は危険なので可能な限り避ける
● 迷ったら“垂直避難”も選択肢(2階へ)
● 避難所が遠い場合は近くの安全な建物へ
● 車での避難は早い段階で(渋滞前)
避難は「早すぎるくらいでちょうどいい」が鉄則。
■ アンダーパスは“水害で最も危険な場所”
● 陥没に見えるほど深くなる
● ほんの数分で水が一気に溜まる
● 夜は深さが全く分からない
● 水圧でドアが開かなくなり車内に閉じ込められる
水害の死亡事故の多くがアンダーパスで発生しています。
■ 水害に備えて家庭でやるべきこと
● ハザードマップで浸水深を確認
● 避難ルートを2つ準備
● 土のう・水のうの準備
● 懐中電灯・モバイル電源
● 家の1階に貴重品を置かない
● 車の移動計画(高台へ避難)
特に「事前の車移動」は浸水被害を大幅に減らせます。
■ まとめ
水害は、
「地形」+「雨の強さと時間」+「川の状態」
で一気に危険度が変わります。
水の力は想像以上に強く、
たった数十cmで命が奪われることがあります。
避難判断は“迷ったら逃げる”。
水害から命を守るには、早めの行動がすべてです。

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