【防災士が解説】水平避難と垂直避難の違い|どっちを選べば命が助かるのか?

災害時の避難には「水平避難」と「垂直避難」の2種類があります。
どちらが正しいかは災害の種類で大きく変わります。
避難判断を誤ると命に直結するため、この違いを理解しておくことが非常に重要です。


■ 水平避難とは?(安全な場所へ“横に移動”する避難)

例:避難所・高台・安全な地域へ移動
歩く・車で移動するなど、距離を移動する避難方法です。

● 避難所へ向かう
● 山から離れる
● 川から離れる
● 土砂災害区域から移動する
など、危険な場所から距離を取る行動を指します。


■ 垂直避難とは?(家や建物の“上の階に移動”する避難)

水平移動が危険な場合に、建物の2階以上に避難する行動です。

● 水害で外に出るのが危険
● 夜間で外が見えない
● 高齢者が多く移動が困難
● 車が使えない
● 道路が冠水・流木で塞がれている

こうした場合に“上へ逃げる”のが垂直避難です。


■ どの災害でどちらを選ぶ?

● 水害(川の氾濫・堤防決壊)

水平避難(早めに高台/避難所へ)

水害は“上に逃げるだけでは助からない”場合が多い。
特に堤防決壊は流れが速く破壊力が大きいため、基本は水平避難。


● 内水氾濫(道路冠水・排水能力オーバー)

垂直避難が有効(道路が危険)

冠水道路に入ると落下・流されるリスクがあるため、
外に出ず2階へ逃げたほうが安全なシーンが多い。


● 土砂災害

水平避難(山から離れる)

垂直避難はNG。
土砂は建物ごと押しつぶすため、2階では助からない。


● 津波

水平避難(すぐに高台へ)+間に合わなければ垂直避難

津波は秒速で迫るため、まずは高台へ走る。
時間がない場合は“津波避難ビル”の3階以上へ。


● 地震(家屋倒壊の危険)

水平避難(安全な場所へ)

建物が揺すられた後は、建物内に留まらないのが基本。


■ 避難判断のコツ

● 夜間の移動は危険 → 垂直避難が有効
● 高齢者がいる → 早めの水平避難
● 冠水道路 → 絶対に入らない(垂直避難)
● 土砂災害区域 → 水平避難のみ
● 津波 → 迷わず水平避難

“災害×場所×時間帯”で判断が変わります。


■ 子どもや高齢者がいる家庭は?

● 早めの行動(避難判断が遅れる傾向あり)
● 地図アプリで安全ルートを複数確保
● 車で逃げる場合は早期に出発
● 夜間は危険なので無理に外へ出ない

特に水害時は、家族構成で避難計画が大きく変わります。


■ まとめ

水平避難:危険な場所から“離れる”避難
垂直避難:移動が危険なときに“上へ逃げる”避難

どちらを選ぶかは、災害の種類と状況次第です。
命を守るためには、
「迷った瞬間に避難する」
という早めの判断が最も重要です。

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