毎年1月に全国で行われる「出初式(でぞめしき)」。
消防関係者にとっては“新年最初の大行事”であり、地域にとっては一年の安全を祈る重要な防災イベントです。
ここでは、防災士の視点で「出初式の意味」「何をしているのか」「地域にとっての役割」を分かりやすく解説します。
■ ① 出初式とは?
出初式は、消防が新年に行う“仕事始めの式典”です。
● 一年の無火災・無災害を祈願
● 消防職員・消防団の士気を高める
● 地域住民に防火防災の意識を呼びかける
● 消防力を地域に公開する
江戸時代から続く伝統的な行事で、現在まで受け継がれています。
■ ② 出初式で行われる主な内容
自治体によって内容は異なりますが、一般的に次のようなプログラムが行われます。
● 式典(辞令交付・表彰・訓示)
● 消防車両の行進(車両パレード)
● 消防団・職員による分列行進
● 梯子乗り(はしごのり)など伝統演技
● 一斉放水(フィナーレ)
● 救助訓練や消防活動の公開演技
最後の“一斉放水”は、出初式の象徴的なシーンです。
■ ③ なぜ出初式が重要なのか?
表向きは華やかな行事ですが、その裏には重大な目的があります。
● 消防職員・消防団員の緊張感を新たにする
● 地域の防災力を目に見える形で示す
● 火災や災害に対する住民の意識を高める
● 災害対応技術の公開による信頼性向上
特に近年は豪雨災害が頻発しており、
「火災だけでなく水害も含めた総合防災の式典」
という意味合いも強くなっています。
■ ④ 出初式でよく見られる“はしご乗り”の意味
江戸時代の「火消し」が行った伝統技術で、
危険な火事場での機敏さ・勇敢さを象徴しています。
● 高い梯子の上での曲芸
● 団結力と身体能力を示す演技
● 観客への見せ場としての伝統文化
今でも、消防の象徴的な演技として継承されています。
■ ⑤ 出初式は地域の“防災教育の場”でもある
子どもから高齢者まで多くの住民が参加するため、
自然と防災意識が高まる貴重な機会です。
● 消防車両を実際に見られる
● 消防団の重要性を知る
● 火災予防の啓発キャンペーン
● AEDや消火器の体験ブース
「見て学べる防災イベント」としての価値が非常に大きい行事です。
■ まとめ
出初式は新年に行われる“消防の仕事始め”であり、
地域の安全を祈る防災文化でもあります。
- 新年の無災害を祈願する
- 消防職員・消防団の士気を高める
- 伝統的なはしご乗りや一斉放水を披露
- 救助・消火技術を地域に公開
- 住民の防災意識を高める教育の場
華やかに見える式典ですが、
その本質は「地域の命を守る準備を整える大切な日」。
新しい一年の防災意識を高める、
とても意義深い行事です。

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