【元消防職員・防災士が解説】防災×マンション要配慮者対策|「自力で動けない人」を前提にしない防災は破綻する

首都直下地震を想定したマンション防災では、
どうしても「平均的な大人」を基準に考えがちです。

しかし現実のマンションには、

・高齢者
・障害のある人
・乳幼児・妊婦
・持病や服薬が必要な人

といった要配慮者が必ず暮らしています。

この前提を外した防災計画は、
災害時に確実に機能不全を起こします。


■① マンション防災で要配慮者が直面する現実

地震発生後、
要配慮者が直面する困難は想像以上に多いです。

・エレベーター停止で移動できない
・階段避難が物理的に不可能
・暗闇や余震でパニックになる
・薬・医療機器が使えない

「一緒に避難すればいい」
という発想だけでは、現実に対応できません。


■② 在宅避難が“危険”になるケースもある

要配慮者にとって、
在宅避難は必ずしも安全ではありません。

・室温管理ができない
・トイレ環境が悪化する
・衛生状態が保てない

特に、
高層階+停電+断水の組み合わせは、
健康リスクが一気に高まります。

在宅避難が限界になるラインは、 一般世帯よりもはるかに早い
という認識が必要です。


■③ 「誰が助けるか」を曖昧にしない

災害時によく起きる失敗が、
「誰かが助けるだろう」という思い込みです。

・隣の人が?
・管理組合が?
・行政が?

明確な役割分担がないままでは、
結果的に誰も動けません。

要配慮者対策は、
善意ではなく事前設計が不可欠です。


■④ 各家庭で最低限やるべき備え

要配慮者がいる家庭では、
次の備えが現実的に重要です。

・服薬・医療用品の1週間分以上確保
・電源が必要な医療機器の代替手段
・簡易トイレ・衛生用品を多めに準備
・避難が困難な前提での在宅対策

「みんなと同じ備蓄」では足りません。


■⑤ マンション全体で考えるべき視点

可能であれば、
マンション全体で次の点を共有しておくと、
被害を大きく減らせます。

・要配慮者がいる階・世帯の把握(任意)
・災害時の声かけ・安否確認方法
・無理な避難をさせない共通認識

これは個人情報の問題ではなく、
命の問題です。


■⑥ 「助け合い」を機能させる現実策

助け合いを成立させるには、

・できること/できないことを明確にする
・単独で抱え込まない
・早めに支援要請する

ことが重要です。

災害時、
無理をする人ほど二次被害に遭います。


■⑦ まとめ|マンション防災は「弱い人基準」で考える

防災計画は、
最も元気な人に合わせてはいけません。

・自力で動けない
・環境変化に弱い
・支援がなければ生活できない

この人たちを守れる計画こそが、
本当に強いマンション防災です。

首都直下地震に備えるとは、
要配慮者を前提にした防災を組み立てること

それが、
マンション全体の生存率を高める、
最も確実な防災戦略なのです。

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