防災士の資格を取ったものの、
「今の部署では防災に直接関われない」
「異動したら資格が活かせなくなった」
そう感じている人は少なくありません。
実はこの状況こそが、
日本の防災が抱える大きな構造的課題です。
そして同時に、
防災×兼業という視点が、
これからの自治体と地域防災を支える
重要な突破口にもなります。
■① 防災士は「防災部署にしか要らない」わけではない
多くの自治体では、
防災は防災担当課や危機管理部門の仕事、
という意識が根強く残っています。
しかし現実の災害対応では、
・総務
・福祉
・教育
・建設
・水道
・環境
・観光
あらゆる部署が、
同時に防災対応の当事者になります。
つまり、
防災士が必要なのは特定部署ではなく、全庁です。
防災士が他部署に異動したから価値が下がるのではなく、
むしろ防災の視点が分散配置されることで、
組織全体の防災力は底上げされます。
■② 異動は「防災力を失う」ではなく「防災力を広げる」
異動によって、
・防災担当を離れた
・現場経験が活かせない
と感じる人も多いですが、
実際は逆です。
例えば、
・教育部門にいる防災士
→ 学校防災・避難訓練・保護者対応が強化される
・福祉部門にいる防災士
→ 要配慮者支援・福祉避難所の実効性が上がる
・建設部門にいる防災士
→ 被害想定と復旧判断が現実的になる
防災士が異動先で果たす役割は、
「専門部署の代替」ではなく、
防災視点を日常業務に組み込む触媒です。
■③ 防災×兼業が自治体にもたらす最大のメリット
自治体にとって、
防災×兼業は非常に合理的です。
理由は明確です。
・専任の防災専門職は限られている
・全庁をカバーする人数を確保できない
・災害は一部署では対応できない
そこで、
各部署に防災士が点在していると、
・初動判断が早くなる
・本部と現場の意思疎通が滑らかになる
・縦割りの壁が低くなる
結果として、
災害対応の立ち上がりが圧倒的に速くなります。
これは予算を増やさずに実現できる、
極めて費用対効果の高い防災投資です。
■④ 地域にとっての「防災×兼業」の価値
地域防災の現場では、
慢性的な問題があります。
それは、
防災を専門的に説明できる人が圧倒的に少ない
という現実です。
自治会・自主防災組織では、
・何を優先すべきか分からない
・訓練が形式的になる
・専門的な質問に答えられない
ここに、
兼業的に関わる防災士が一人いるだけで、
・訓練の質が変わる
・議論が現実的になる
・行政との橋渡しができる
防災士は、
「指導者」ではなく
翻訳者・調整役として
地域に大きな安心をもたらします。
■⑤ 防災専門家が少ない現状こそ、兼業が必要な理由
日本では、
防災を専門とする人材が
圧倒的に足りていません。
・防災は兼務が当たり前
・災害が起きてから人が集まる
・平時は評価されにくい
この構造のままでは、
どれだけ計画を作っても
「動く防災」にはなりません。
だからこそ、
・本務を持ちながら
・日常業務の中で
・防災視点を差し込む
防災×兼業という分散型モデル
が、現実解になります。
■⑥ 防災×兼業は「副業」ではなく「機能拡張」
誤解してはいけないのは、
防災×兼業は
お金を稼ぐ副業の話ではないという点です。
本質は、
・本務の質を高める
・組織の脆弱性を減らす
・地域との接点を増やす
という機能拡張です。
防災士が関わることで、
通常業務がより現実的で、
災害に強い設計へと変わっていきます。
■⑦ 防災×兼業が生む「静かな信頼」
防災×兼業の最大の成果は、
目立ちません。
・表彰されにくい
・数値化しにくい
・成果が見えにくい
しかし、
「この人がいると安心」
「話が現実的」
「判断が早い」
こうした静かな信頼が、
災害時に一気に効いてきます。
■⑧ まとめ|防災×兼業はこれからの標準モデル
防災士が、
防災部署にいるかどうかは
本質ではありません。
重要なのは、
・どこにいても防災視点を持てること
・本務と切り離さずに活かすこと
・地域と組織をつなぐこと
防災×兼業は、
人手不足の時代における
最も現実的で、持続可能な防災の形です。
防災は、
一部の専門家だけが担うものではありません。
専門性を持つ人が、あちこちに散らばっている。
その状態こそが、
自治体と地域を
本当に災害に強くするのです。

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