【防災士が解説】防災×高齢者|避難所生活で体力と尊厳を守る「避難服」という備え方

避難所で最も影響を受けやすいのは、高齢者です。
これは体力の問題だけではありません。

着替えができない。
寒さや暑さに対応できない。
周囲に気を使いすぎて動けない。

こうした小さな不快感が積み重なり、体調悪化や要介護化につながるケースを、現場では何度も見てきました。

この記事では、防災×高齢者の視点から、避難所生活で体力と尊厳を守るための「避難服」という考え方を解説します。


■① 高齢者にとって避難所は想像以上に過酷

避難所は、健康な大人でも消耗します。
高齢者にとっては、なおさらです。

床が硬い。
冷えやすい。
動くのがおっくう。
着替える場所がない。

これらが重なると、食欲低下や睡眠不足、免疫力低下につながります。
命に直結しないように見えて、実は非常に危険な状態です。


■② 見落とされがちな服装の影響

避難所支援というと、食料や水が優先されがちです。
その一方で、服装は後回しにされることが多い分野です。

寒い。
締め付けがつらい。
同じ服を着続ける。

これだけで、体力は確実に奪われます。
高齢者ほど我慢してしまうため、周囲が気づいた時には体調を崩していることも珍しくありません。


■③ 避難服とは着替えやすさを優先する考え方

避難服は、防災専用の服ではありません。

高齢者にとっての避難服とは、
少ない動作で着替えられ、体を冷やさない服装
という考え方です。

前開き。
締め付けが少ない。
軽い。
肌触りが良い。

これらを満たしていれば十分です。


■④ 高齢者の避難服に向いている服装例

特別な準備は必要ありません。

スウェット。
ゆったりしたジャージ。
前開きのカーディガン。
ゴムウエストのズボン。

普段着慣れている服ほど、安心感があります。
新しい服より、使い慣れた服の方が適しています。


■⑤ 下着と靴下は清潔感を守るための要

高齢者は皮膚が弱く、蒸れやすいため、

同じ下着を長く着る。
靴下を替えられない。

ことで、皮膚トラブルを起こしやすくなります。

下着と靴下は三日分。
使い古しで問題ありません。

汚れたら捨ててもいい。
この考え方が、本人にも介助する側にも余裕を生みます。


■⑥ 体を洗えない期間をどう乗り切るか

断水や混雑により、入浴できない状況は珍しくありません。

ここで役立つのが、体拭き用のウエットティッシュです。

首。
脇。
背中。
足。

を軽く拭くだけでも、体感は大きく変わります。
清潔感を保てると、気持ちも前向きになります。


■⑦ 避難服は尊厳を守る備え

高齢者が一番つらいのは、
人に迷惑をかけていると感じることです。

着替えられる。
清潔を保てる。
自分のペースで動ける。

これは、尊厳を守ることにつながります。
避難服は、体を守るだけでなく、心を守る備えです。


■⑧ 家族ができる小さな準備

今すぐできることは難しくありません。

使い古しの部屋着を分けておく。
下着と靴下を三日分まとめる。
体拭き用のウエットティッシュを入れる。

これだけで、避難所生活の質は大きく変わります。


■まとめ|高齢者の命と尊厳を守る防災

高齢者は避難所環境の影響を受けやすい存在です。
服装の不快感は、体力低下に直結します。
避難服は特別な防災用品ではありません。
普段着と使い古しで十分です。

結論:
避難服は、高齢者が避難所で「人としての尊厳」を保つために欠かせない防災の考え方です。

防災士として現場を見てきた中で感じるのは、服装や清潔を保てた高齢者ほど、体調を崩しにくく、避難所生活を乗り切れていたという事実です。
我慢を前提にする防災ではなく、自律型避難を支える備えとして、避難服の考え方を知っておくことが重要です。

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