【防災士が解説】防災×高齢者|なぜ災害時に高齢者の被害はなくならないのか

地震・豪雨・津波・停電・土砂災害。
あらゆる災害で、最も犠牲になりやすいのは高齢者や身体の不自由な方です。

災害のたびに、
・避難できなかった
・家に残っていた
・移動中に倒れた
・迷惑をかけたくなかった

同じ悲劇が繰り返されます。
ではなぜ、対策が進んでいるはずなのに被害は減らないのか。
そこには、現場でしか見えない現実があります。


■① 避難行動が「体力」に左右される

高齢者にとって避難は重労働です。

・歩くのが遅い
・足腰が弱い
・階段が苦しい
・荷物を持てない
・夜間は視界が悪い
・雨で滑りやすい

避難所が近くても、その距離が命がけになります。


■② 避難の判断が難しい

高齢者は危険を感じにくい、信じにくい傾向があります。

・過去の経験から大丈夫と思ってしまう
・被害を想像しにくい
・警報の意味が分かりにくい
・スマホ通知を確認できない

結果として、避難のタイミングを逃します。


■③ 「家の方が安全」という心理

避難したがらない最大の理由です。

・家が一番落ち着く
・生活習慣を崩したくない
・避難所が暗くて不安
・トイレが遠い
・ベッドがないと体が痛い

避難所=生きづらい場所だと感じると、無理に避難しません。


■④ 「迷惑をかけたくない」という思い

日本の高齢者に多い心理です。

・歩くのが遅い
・介助が必要
・人に頼るのが申し訳ない
・ペットがいるから行けない

「人に迷惑をかけるくらいなら家にいる」と考えてしまいます。


■⑤ 情報が届かない現実

高齢者は情報弱者になりやすい。

・テレビを消している
・スマホを使いこなせない
・警報アプリを知らない
・専門用語が理解できない

情報が届かなければ、避難行動はできません。


■⑥ 避難所の環境が厳しい

避難所は災害弱者に優しい空間とは限りません。

・硬い床で体が痛む
・トイレが遠い
・人の気配で眠れない
・冷暖房が弱い
・バリアフリーでない

体力のない人ほど、避難=体調悪化になります。


■⑦ 支援する人が足りない

高齢者が避難できない最大の要因です。

・家族が遠方
・独居世帯
・支援者も高齢
・地域のつながりが薄い

本当に助けが必要な人ほど、支援から漏れやすい。


■⑧ 災害は悪条件で起きる

多くの災害は、

・深夜
・豪雨
・停電時

に発生します。

視界が悪く、足元が不安定な中で、高齢者はほぼ動けません。
「朝になったら」「様子を見る」が、逃げ遅れにつながります。


■まとめ|高齢者の被害は「本人の責任」ではない

高齢者の被害が減らない理由は、

・体力の低下
・判断の難しさ
・情報が届かない
・環境が整っていない
・支援が不足している

という現実的な壁があるからです。

結論:
災害時に高齢者の被害がなくならないのは意識や努力の問題ではなく、避難できない理由が確かに存在するためであり、早めの避難判断、周囲の声かけ、環境整備を社会全体で支える防災が不可欠である。

防災士として現場を見てきた中で、高齢者は決して怠慢ではありません。
動けない現実を理解し、先回りして支えることこそが、本当の防災です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました