防災というと、「3日」「72時間」という言葉がよく使われます。
しかし、過去の災害を振り返ると、はっきり分かる事実があります。
初動3日で終わった災害は、一つもない。
災害は、例外なく長期戦でした。
ここでは、実際の災害事例から「日数感覚」を整理し、防災の前提を見直します。
■① 東日本大震災(2011年)が示した“年単位の被災”
東日本大震災では、被災の長期化が顕著でした。
・停電の完全復旧:約8日〜数週間(地域差)
・断水の完全解消:数週間〜数か月
・仮設住宅完成まで:約6か月
・避難生活の長期化:数年(現在も継続地域あり)
初動の混乱を乗り越えても、
生活再建は年単位で続きました。
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「助かる」ことと「元の生活に戻る」ことは、全く別のフェーズであることを突きつけた災害です。
■② 熊本地震(2016年)で顕在化した“助かった後の消耗”
熊本地震の特徴は、長引く余震と避難生活でした。
・余震期間:数か月(最大余震は本震から28時間後)
・車中泊・避難生活:数週間〜数か月
・仮設住宅入居まで:約3〜6か月
命を守る行動はできても、
その後の生活で多くの人が消耗しました。
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「一度助かったあと」が最も苦しく、判断力が削られた災害です。
■③ 西日本豪雨(2018年)が示した“水と判断の長期被害”
西日本豪雨では、生活基盤への影響が長期化しました。
・断水:最長で約2週間以上
・土砂撤去・道路復旧:数か月
・生活再建判断(転居・仕事):半年〜1年以上
水が使えない状態が続き、
清潔・睡眠・判断力が徐々に削られていきました。
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生活判断そのものが、長期間にわたって難しくなった災害です。
■④ 令和元年東日本台風(2019年)の“遅れて来る被害”
この災害では、時間差で問題が顕在化しました。
・浸水住宅の原状回復:数か月〜1年以上
・仮住まい生活:半年以上
・精神的不調の顕在化:被災後数か月以降に増加
初動が落ち着いたあとに、
生活と心の問題が表に出ました。
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被害の本番は「数週間後」から始まった災害です。
■⑤ 令和6年 能登半島地震(2024年)が示す“長期戦前提の現実”
能登半島地震では、地理条件と支援の遅れが重なりました。
・断水:数か月継続(地域により現在も)
・道路・集落の孤立:数週間〜数か月
・避難生活の固定化:長期化が確定
初動対応が終わっても、
生活再建の見通しが立たない状態が続いています。
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支援が届く前提ではなく、長期戦を前提にせざるを得ない災害です。
■⑥ 過去の災害に共通する「日数の現実」
これらの災害に共通する事実は明確です。
・初動(3日)で終わった災害は一つもない
・1週間以降に本当の苦しさが始まる
・2週間〜1か月で判断力・気力が落ちる
・数か月後に心の問題が表面化する
つまり、
防災は「最初の数日」を想定しただけでは必ず破綻するということです。
■⑦ 防災への示唆|意識を変えなければ備えは変わらない
この事実が示しているのは、はっきりしています。
・備えを「3日分」で終わらせてはいけない
・備蓄は「命」だけでなく「生活」を支えるものへ
・防災は短期戦の装備+長期戦の設計が必要
防災の前提を変えなければ、
備え方も、備蓄の意味も変わりません。
■⑧ 「災害は長期戦」という認識がすべてを変える
災害は長期戦です。
この認識を持つことで、
・備え方が変わる
・備蓄の考え方が変わる
・防災への向き合い方が変わる
防災は、
一時的な我慢ではなく、壊れずに続けるための設計へと進化します。
■まとめ|過去の災害が示す、動かせない現実
過去の災害は、すべて同じ結論を示しています。
結論:
災害は必ず長期戦になり、その日数感覚を前提に防災を考えなければ、助かったあとに必ず苦しむ。
防災は、経験から学ぶものです。
そして過去の災害は、
「短期戦の防災では足りない」という答えを、何度も示しています。
長期戦を前提にした意識改革こそが、
これからの防災の出発点です。

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