冬の避難所では、同じ環境にいても「高齢者だけ体調を崩しやすい」という状況が多く見られます。これは体力差や気合の問題ではなく、加齢による身体特性と避難所環境が重なって起きる、極めて現実的な問題です。
■① なぜ高齢者は寒さの影響を受けやすいのか
高齢者は、若い世代に比べて筋肉量が少なく、熱を生み出す力が弱くなっています。また、血管の反応も鈍く、体温調整がうまくできません。そのため、同じ気温でも体の深部が冷えやすくなります。
■② 冷えが引き起こす高齢者特有のリスク
体が冷えることで、血圧の変動、関節痛、持病の悪化が起こりやすくなります。特に心臓・呼吸器・糖尿病などの基礎疾患を持つ人は、寒さが引き金となって急激に体調を崩すケースもあります。
■③ 「寒いと言わない」ことが危険信号になる
現場で多かったのは、「迷惑をかけたくない」「我慢すればいい」と寒さを訴えない高齢者です。本人が平気そうに見えても、実際には体が限界に近づいていることがあります。声が出ないこと自体がサインです。
■④ 冷えは転倒・事故にもつながる
寒さで筋肉がこわばると、立ち上がりや歩行が不安定になります。これが転倒や怪我につながり、結果として避難生活の負担が一気に増えることがあります。冷え対策は、安全対策でもあります。
■⑤ 現場で見落とされやすいポイント
毛布を配っていても、「床からの冷え」「首・手首・足首の冷え」は対策されていないことが多くあります。全身を覆っていても、冷えやすい部分が守られていないと、体温は簡単に奪われます。
■⑥ 家族・周囲ができる現実的な配慮
高齢者本人に任せきりにせず、「寒くないか」「足元冷えていないか」と声をかけることが重要です。ひざ掛け、厚手の靴下、首元を温めるアイテムは、少ない荷物でも大きな効果があります。
■⑦ やらなくていい防災
高齢者に無理な運動や体操を勧める必要はありません。体を動かすより、まず冷やさないことが最優先です。できないことを求めるより、負担を減らす視点が大切です。
■⑧ 今日できる最小行動
今日できる行動は一つだけです。家族や身近な高齢者のために、「冷えやすい場所はどこか」を一度考えてみてください。それだけで、備えの質は大きく変わります。
■まとめ|高齢者の冷え対策は命を守る対策
冬の避難所で高齢者が冷えに弱いのは、避けられない身体特性によるものです。しかし、周囲の理解と少しの配慮で、そのリスクは確実に下げられます。
結論:
冬の防災では、高齢者の「寒さに弱い前提」で行動することが、命を守る近道です。
防災士として現場を見てきた立場から言えるのは、冷えに早く気づけたケースほど、深刻な体調悪化を防げていたということです。冬の備えは、高齢者を基準に考えることが重要です。

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