【防災士が解説】防災×自動車保険|災害時「クルマの水没」は本当に補償されないのか?

近年、ゲリラ豪雨や線状降水帯による浸水被害が各地で発生し、
地下駐車場や道路でクルマが水没する映像を目にする機会が増えました。

そのたびに聞こえてくるのが、
「自然災害で水没したクルマは、保険が下りないらしい」
という声です。

この認識、半分は正しく、半分は間違いです。
防災の視点で、正確に整理しておく必要があります。


■① 「水没は保険対象外」という誤解が生まれた理由

多くの人が誤解している背景には、
東日本大震災の津波被害があります。

津波で流されたクルマが、
車両保険の補償対象外だった事例が強く印象に残り、
「水=対象外」という認識が広がりました。

しかし、水没の原因によって扱いは大きく異なります。


■② 自動車保険の基本構造を整理する

自動車保険は大きく分けて2つあります。

・自賠責保険(強制加入)
・任意保険(補償内容を選択)

水没が関係するのは、任意保険の中の「車両保険」です。
車両保険は、自分のクルマの損傷や盗難を補償するものですが、
何が原因かによって補償の可否が変わります。


■③ 津波・地震・噴火による水没は原則対象外

多くの車両保険では、

・地震
・噴火
・津波

による損害は、原則として補償対象外です。
津波は地震や噴火が原因で発生するため、
水没であっても「地震起因」と判断されます。

これが、
「自然災害の水没は保険が使えない」
という誤解の正体です。


■④ 台風・豪雨による水没は補償されるケースが多い

一方で、

・台風
・集中豪雨
・ゲリラ豪雨
・河川氾濫
・都市型冠水

といった天候起因の水没は、
車両保険の補償対象になるケースが多くあります。

地下駐車場の浸水や、
道路冠水でのエンジン水没などは、
契約内容によっては補償される可能性が高いのです。


■⑤ 不可抗力でも「等級は下がる」という現実

ここで多くの人が悩むのが、
「等級が下がるなら使わないほうがいいのでは?」
という点です。

確かに、
水没で車両保険を使うと等級は下がります。
これは不可抗力であっても例外ではありません。

しかし、
修理費や買い替え費用が高額になる場合、
保険を使わないほうが損になるケースが圧倒的に多い
というのが現実です。


■⑥ 防災の視点で考える「保険を使う判断」

防災は、
「被害をゼロにする」ことではなく、
「被害を回復できるか」を考える分野です。

クルマは、
・避難
・通勤
・家族の送迎
・支援活動

など、生活再建に直結する重要なインフラです。
大規模災害時ほど、
クルマを早く復旧させる判断が重要になります。


■⑦ 防災士から見た実際に多かった失敗

現場で実際に多かったのは、

・保険内容を確認していなかった
・「どうせ対象外」と思い込んで申請しなかった
・判断を迷っている間に生活が立ち行かなくなった

というケースです。

誤解されがちですが、
行政側も「クルマは各自の保険で復旧してほしい」
という前提で支援計画を立てています。
ここは、あまり表に出ない本音です。


■⑧ 自律型避難と自動車保険の関係

自律型避難とは、
支援が届くまでの時間を自分で乗り切る考え方です。

その中で、
クルマが使えるかどうかは大きな差を生みます。
保険内容を事前に理解しておくことは、
避難行動の選択肢を増やす防災行動でもあります。


■まとめ|水没=対象外と決めつけるのは危険

自然災害によるクルマの水没は、
すべてが補償対象外ではありません。

結論:
水没は「原因」で判断する。思い込みが最大のリスク

防災士として強く伝えたいのは、
「契約内容を一度も見直していないこと」こそが
最大の防災リスクだという点です。

保険は、災害後にあなたの生活を立て直すための道具です。
今日一度、自分の車両保険を確認すること。
それも立派な防災です。

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