【防災士が解説】「ワンヘルス × 防災」── 人・動物・環境を“ひとつの健康”として守る新時代の防災の考え方

近年、防災の世界でも注目されているのが
「ワンヘルス(One Health)」 という概念です。

ワンヘルスとは、
人の健康・動物の健康・環境の健康は切り離せず、 すべてが一体となって守られるべきである
という考え方。

感染症、災害、気候変動、ペット同行避難など、
現代の災害環境は“人だけ守ればよい”では成立しません。

防災士としても、この考えは非常に重要になります。


■ ワンヘルスとは何か?(3つの健康が一体)

人の健康
動物の健康(ペット・家畜・野生動物)
環境の健全性(水・土・空気・自然環境)

この3つは相互に影響します。

たとえば…
● 災害で衛生環境が悪化すれば感染症が広がる
● 野良動物の増加で狂犬病・咬傷リスクが上がる
● 環境汚染が進めば人と動物どちらも影響を受ける

「すべての健康はつながっている」。
これがワンヘルスの核心です。


■ ワンヘルス × 防災で重要な理由

● 災害時は“衛生環境が一気に悪化する”
● ペット同行避難が増え、動物との距離が近くなる
● 水害後に動物由来感染症が増えることがある
● ゴミ問題や生活排水が環境と健康に影響
● 避難所でのペット問題(アレルギー・衛生トラブル)

つまり、
防災=人の命だけを守るのでは不十分
ということ。


■ ワンヘルス × 防災

家庭で今日からできる“身近な実践15選”


① ペットのワクチン × 防災

→ 災害時の感染症トラブルを防げる。


② フードの備蓄 × 環境保全

→ 避難所で余計なゴミを出さない工夫にも。


③ ペットシーツ × 衛生

→ 避難所の衛生維持に直結。


④ うんち袋 × 避難生活

→ 人・動物・環境すべてに優しい。


⑤ 手洗い × ペット接触後

→ 人獣共通感染症を予防。


⑥ 消毒液 × 犬のトイレ処理

→ 周囲の人の健康を守る行動でもある。


⑦ マスク × ペット同行避難

→ アレルギー対策として不可欠。


⑧ バスタオル × ケージ

→ ペットのストレス軽減=吠えによるトラブル減。


⑨ ペットの迷子札 × 飼い主

→ 災害時の迷子防止はワンヘルスの基本。


⑩ 虫よけ × 避難生活

→ 動物を媒介とする感染症を減らす。


⑪ 水の備蓄 × 人と動物

→ “両者分”を確保して初めてワンヘルス。


⑫ ゴミ分別 × 避難所

→ 衛生と環境を守り、感染リスク低減。


⑬ 換気 × 避難所生活

→ 人と動物どちらの呼吸器疾患も予防。


⑭ 情報収集(自治体・環境情報)

→ 水質・動物被害・感染情報の把握が鍵。


⑮ 動物への配慮 × コミュニティ

→ “動物が怖い人”への気遣いが共存の基本。


■ 災害時に問題となる「人獣共通感染症」とは?

人と動物の間でうつり合う感染症で、
災害後に増えることがあります。

例:
● レプトスピラ症(大雨・冠水で増える)
● 狂犬病(野生動物接触が増える地域で問題)
● ノミ・ダニ媒介感染症
● サルモネラ菌
● カンピロバクター

防災力=衛生管理力
という時代に変わっています。


■ ワンヘルスを実現する避難所運営とは?

● ペットゾーンと人ゾーンの分離
● 排泄管理のルール化
● アレルギー配慮(動物が苦手な人の保護)
● 臭気・騒音トラブルの抑制
● 適切な換気と清掃

これらが実現されると、
“人も動物も環境も守られた避難所”になります。


■ まとめ

ワンヘルス × 防災 は、
“人・動物・環境すべてを一体で守る、新しい防災の姿”

  1. 人の健康と動物の健康は密接にリンクしている
  2. 災害時こそ衛生管理・ペット管理が重要
  3. 感染症対策は「人だけ守る」では成立しない
  4. 家庭にある道具でワンヘルス防災は実践できる
  5. これからの避難所運営はワンヘルス視点が必須

ワンヘルスは、防災士としても
“未来の防災の基本姿勢” です。
人も動物も、そして環境も守る防災を一緒に考えていきましょう。

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