首都直下地震が発生した場合、医療現場は一瞬で極限状態に陥ります。
東京都内では、病院の耐震化やDMATの増員だけでなく、地域全体を巻き込んだ災害医療体制の再構築が加速しています。
今回の動きが示しているのは、
「病院だけが頑張っても命は救いきれない」という、極めて現実的な事実です。
■① 首都直下地震で想定される医療の現実
首都直下地震では、
・多数の負傷者
・交通寸断
・医療機関の被災
が同時に発生します。
発災直後、患者は最寄りの医療機関に殺到し、
医療が逼迫し、適切な治療につながらない「未治療死」が発生する可能性が指摘されています。
これは過去の大規模災害でも繰り返されてきた現実です。
■② 災害医療の基本は「トリアージ」
東京都では、
病院敷地内などに設けられる「緊急医療救護所」で、
・トリアージ
・応急処置
・搬送判断
が行われます。
重症者は災害拠点病院へ、
比較的安定した患者は連携病院へ。
この振り分けが機能するかどうかが、救命率を大きく左右します。
■③ 病院だけでは完結しない災害医療
災害医療は、
「一つの病院で完結しない」ことが前提です。
・負傷者の広域搬送
・被災を免れた地域の医療機関との連携
・医療コンテナや船舶医療の活用
限られた医療資源をどう分配するかが、最大の課題となります。
■④ 都内病院で進む具体的な取り組み
聖路加国際病院では、
・軽症者は地域の医師会
・重症者は病院
という役割分担を訓練で確認しています。
また、
・高潮
・河川氾濫
といった複合災害も想定し、ハザードマップを活用した備えの見直しを継続しています。
■⑤ 応援職員を前提とした医療体制
都立広尾病院では、
震度6弱以上の地震発生時、
半径6km以内の都立病院に職員が集結するルールを整備しています。
これにより、
・他院からの応援職員受け入れ
・重症患者の受け入れ拡大
が可能となります。
医療も「人」が最大の資源です。
■⑥ 防災士から見た実際に多かった失敗
現場で多かったのは、
「病院に行けば何とかなる」という思い込みです。
・軽症でも病院に殺到
・本来救うべき重症者が後回しになる
結果として、救える命が失われるケースを見てきました。
■⑦ 行政側が言いにくい本音
正直に言えば、
すべての負傷者をすぐに治療することは不可能です。
だからこそ、
・軽症者は自宅療養
・応急手当の知識
・地域での助け合い
が、医療崩壊を防ぐ重要な鍵になります。
■⑧ 災害医療を支える「自律型避難」と減災
医療を守る最大の対策は、
「そもそもケガをしないこと」です。
・家具固定
・ガラス飛散防止
・自律型避難の理解
地域全体で減災に取り組むことで、
医療現場の負担を大きく減らすことができます。
■まとめ|病院を守る防災から、地域で命を守る防災へ
首都直下地震に備えた都内病院の動きは、
災害医療の考え方が変わりつつあることを示しています。
結論:
災害医療は、病院だけでなく地域全体で支えるもの
防災士として現場を見てきた経験から断言できます。
「地域でケガを減らせた分だけ、救える命は確実に増える」。
医療の限界を知り、
減災と自律型避難を広げることこそ、
首都直下地震への最も現実的な備えなのです。

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