【元消防職員が解説】防災×自衛隊|首都直下地震で「11万人いても足りない」現実

首都直下地震が起きたとき、
最後の砦 として期待されるのが自衛隊です。

しかし――
「自衛隊が来れば何とかなる」
この考えは、現場を知る立場から言えば 危険な誤解 です。


■① 首都直下地震で動く自衛隊の規模

政府想定では、発災直後に

最大11万人の自衛隊員 が首都圏に投入されます。

これは、
・東日本大震災(10万人)を上回る規模
・全自衛官の約半数

残る半数は、
領空侵犯・周辺有事・海外邦人退避など
防衛警備を同時に担う必要 があります。

つまり、
災害対応に「全力投球」できる状況ではありません。


■② 最大の敵は「交通まひ」

自衛隊の活動を最も妨げるのは、
火でも人手不足でもなく 道路 です。

・陥没
・倒壊建物のがれき
・放置車両

これらにより、
陸路が完全に寸断される地域 が多数発生します。

ヘリ・船舶での投入も想定されていますが、

・天候に左右される
・着陸・接岸場所が限られる

という弱点を抱えています。


■③ 補給路が切れると「救助が止まる」

現場で最も恐れられているのが、

退路と補給路が確保できない状態

この状態では、

・負傷者を搬送できない
・隊員自身が孤立・被災する

という最悪の事態に陥ります。

自衛隊自身が
新たな要救助者になるリスク すらあるのです。


■④ 勝負は「72時間」

災害対応で常に意識されるのが
発災から72時間

この時間を過ぎると、
生存率は急激に低下するとされています。

・道路を開けられるか
・負傷者を運び出せるか

この初動の成否が、
何千人単位の生死を左右します。


■⑤ 病院も被災する前提で考える

首都圏には
1都3県で 168の災害拠点病院 があります。

しかし、
地震では病院そのものが被災し、

・受け入れ不能
・機能低下

となるケースが現実的に想定されています。

そのため、
広域搬送 が不可欠になりますが、
これも道路・調整・情報共有が揃わなければ成立しません。


■⑥ カギは「現場調整力」

首都直下地震では、

・自衛隊
・警察
・消防
・自治体
・DMAT

これらが同時に動きます。

重要なのは「誰が偉いか」ではなく、

現場でどう役割分担するか

その調整力です。

実際、自衛隊は
首都直下地震を想定した統合防災演習を重ね、
優先順位や役割分担のすり合わせを進めています。


■⑦ 情報共有は“命そのもの”

自衛隊内でも課題はあります。

統合作戦司令部の設置で
命令系統は整理されましたが、

・情報が遅い
・現場に十分届かない

という声が出ています。

災害では、

情報の遅れ=命の損失

です。


■⑧ 住民が知っておくべき現実

ここまでを踏まえて、
一番伝えたいことはこれです。

自衛隊は万能ではない。

・人数がいても
・装備があっても

道路がなく、調整が間に合わなければ
救助は届きません。


■まとめ|「来る前に、助け合う」が前提

首都直下地震では、

・自衛隊は11万人動く
・それでも全員は助けられない
・初動は地域と個人に委ねられる

この現実を、
恐怖ではなく 前提条件 として受け止める必要があります。

だからこそ重要なのは、

・自助
・共助
・初動の行動力

自衛隊が来るまでの時間を、
どう生き延びるか

それが、
首都直下地震の本当の防災です。

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